【センバツ】〝史上最弱〟明豊が初の決勝進出 川崎監督「優勝が100、負けはゼロ」

決勝進出をきめ喜ぶ明豊ナイン

〝史上最弱〟のチームがついにここまで来た。明豊(大分)が「第93回選抜高校野球大会」(甲子園)10日目の31日、準決勝第2試合で中京大中京(愛知)と対戦し5―4で勝利。初の決勝進出を果たした。

両軍無得点のまま迎えた4回の集中打で一挙5得点のビッグイニングを作った。単打と2四死球で一死満塁とし、塘原俊平(3年)の犠飛で1点を先制。ここから一気に畳みかけ、この日先発マウンドにも立った太田虎次朗(3年)の右前安打、簑原英明(3年)の左越え二塁打、さらに阿南(3年)も中前安打と3連続適時打が飛び出して計4得点を奪い、相手を突き放した。

投げては背番号10の左腕・太田が6回途中まで4安打3失点と粘投。ここからエース右腕・京本真(3年)がバトンを引き継ぎ、2点リードの9回に無死一、三塁のピンチを招いたものの最後は1失点で踏ん張り、僅差で逃げ切った。

試合後の川崎絢平監督(39)は1点差の勝利に「最後まで苦しい状況だったが、何とか守り抜いた。ウチは『守りだ』ということを、おまじないのようにここまで言い続けてきた。それが全員の意識につながっている。見る人が見れば決して上手じゃないかもしれないが、高校生らしい泥臭い守備はできたのではないか。本当に選手たちは成長していると感心した」と目を細めた。

この準決勝でも積極的な打撃が光ったことに加え、守備のミスはひとつもなし。鉄壁の守備で4試合無失策の堅守を貫き、悲願の頂点まで残り「1」となった。

新チームがスタートした当初、川崎監督は「オレの見た中では一番弱い」と評してきた。もちろん本意ではない。選手たちの反骨心を煽り、大舞台で持っている力以上のものを発揮させるためだ。主将の幸修也(3年)も「その言葉があったからこそ、自分たちは見返してやろうという気持ちになって、これまでやってこれた」と振り返る。その上で「今の結果に満足せず、しっかり、あと1勝。日本一を勝ち取りたい」と言い切った。

大分県勢としては1967年の第39回大会を制した津久見以来となる決勝進出。相手は強豪・東海大相模(神奈川)だ。最後に川崎監督は「結局、決勝でも勝ち負けがつくもの。少しでもひるむと力のある学校なので、この今の状況にホッとしてしまうと一気にやられてしまう。優勝が100、負けはゼロぐらいの覚悟でいかないと、うちは勝負にならない」と表情を引き締め直した。

もう誰が見ても〝最弱〟ではなく〝最強〟だ。明豊の面々は、必ずやセンバツ初Vを成し遂げ「大紫紺旗」を54年ぶりに豊国の地へ持ち帰る決意を固めている。

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