【受動喫煙防止条例】健康への意識高めよう(4月1日)

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 県議会が約一年がかりでまとめた「ふくしま受動喫煙防止条例」が一日、施行された。県によると、受動喫煙防止に関わる同様の条例は一月末現在、都道府県別では全国で十一の自治体が設けている。罰則規定を盛り込むケースもあるが、福島県は過料を科さない努力目標になった。県民一人一人に条例が浸透し、健康への意識をさらに高めるきっかけになってほしい。

 県議会は昨年十月、条例制定に向けた検討会を発足させた。医療関係者や製造販売業者らから、たばこを消した後に残る化学物質を第三者が吸い込む三次喫煙や罰則の在り方などを含めて意見を聞いた。昨年末から一カ月間行ったパブリックコメント(意見公募)には、賛否合わせて三百四件の声が寄せられた。条例は「子どもや妊婦等」の記述を随所に盛り込み、特段の気配りをするよう求めているのが特徴だ。

 具体策として「学校などに喫煙所を置かない」「家庭や車で吸わない」などとした。他にも「臭気や残留物に関して配慮に努める」と明記し、喫煙者にモラルやマナーの徹底を訴えている。条例に強制力はなく、今後は十分な広報と周知徹底が求められる。決して努力目標に終わらせてはならない。

 消費者庁は未就学児のたばこの誤飲事故に関する初の実態調査を行い先日、結果を公表した。調査は一月末に福島県を含めた全国を対象に、ネット上で行った。ゼロ歳から六歳までの乳幼児と同居する二十代から六十代の愛煙家五百人がアンケートに応じた。そのうちの二割の家庭でこれまでに、たばこや吸い殻を誤飲したり、しそうになった経験があると回答している。

 家庭内での誤飲事故の報告は年間を通して後を絶たないという。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い自宅でのテレワークが定着し、外出自粛により家族で過ごす時間が増えている。新型コロナ収束の見通しは不透明で今後、事故が増える恐れもある。消費者庁は、自宅での禁煙をはじめ子どもが手の届く場所にたばこを置かない、缶やペットボトルを灰皿代わりにしないことなどを呼び掛けている。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から十一年目になった。コロナ禍が重なり、健康への意識は確実に高まっている。県の担当者は「県民が健康で過ごす環境を整えることが、本県復興の原動力になる」と期待する。将来を担う子どもたちの健康を守るためにも、日常生活に直結する条例が持つ意義は大きい。(小林和仁)