地域密着の路線バス「都立01」系統、最後の日

東京・目黒区と世田谷区の住宅街を走るバスの路線が運行を終了します。地域の足として60年以上活躍した路線バスの最後の姿に、多くの人たちが別れを惜みました。

東急バス「都立01」系統は、沿線に学校が多いことから別名「学校線」と呼ばれ、長年にわたって多くの子どもたちを運び、地元の足として愛されてきました。ルートの中には見事な桜のトンネルもあり、バスは舞い落ちる桜の花びらをかき分けながら街から街へと進んで行きます。四季折々を感じてさせてくれるこの路線ですが「採算が取れない」という理由から運行を終了することになりました。利用客からは「小田急線の駅に出るにも便利だったので、なくなるとやっぱり寂しい」「医者に行くために使っています。これからはどうしたらいいのか」などといった声も聞かれました。また、停留所がある桜新町駅前にある店の店員も「世田谷区の岡本方面からバスで来てくれるお客さんも多かった。きのうも駆け込みで買いに来た人もいた」と、見慣れた風景が変わることに寂しさを感じています。

「都立01」系統は現在、東急東横線の都立大学駅から東急田園都市線の桜新町駅を経て、小田急線の成城学園前駅までのおよそ11キロの道のりを1時間ほどかけて走っています。ルートは利用状況の移り変わりによって変化していきました。誕生したのは今から65年前のことで、当初は山手線の恵比寿駅前から目黒駅を経由し、都立大学・桜新町までの区間を走っていました。その後、路線は延伸や路線変更を繰り返しながら1994年に現在の路線になったということです。

実際にバスに乗ってみると、バスが走るルートには商店街や住宅街、店と入り組んだ道が多く見られます。実は「都立01」系統はベテラン運転手も緊張する"難しい路線”として有名でした。一般路線で数年ほど経験を積んだベテランでないと、受け持つことができなかったといいます。運転手歴15年という外山良太郎さんは「最後の日」を迎えたこの日も、いつものように運転開始を前に入念にバスを点検し、勤務に就きました。外山さんは初めてこの路線を運転した時のことを「もちろん実際に練習したとはいえ、お客さまを乗せて運行するということで前日から緊張していた」と話してくれました。外山さんはまた「四季を感じられる路線だったので、なくなってしまうのは非常に寂しい」としつつ「どんな路線でもお客さま安全第一に運行するように頑張っていきたい」と話し、これからもハンドルを握り続けます。

© TOKYO MX