【RISE】黒星デビューの元西武・相内誠が語る“格闘家としての覚悟”

相内は拳を突き出し再スタートを誓った

プロ野球西武の元投手・相内誠(26)が第2の人生で奮闘している。注目を集めた立ち技打撃格闘技「RISE」の格闘技デビュー戦(2月28日)ではDelgermuru拳信王(31=モンゴル)の強打に対抗できず、1ラウンド(R)2分5秒でKO負け。だが西武時代に数々のトラブルで世間を騒がせた“問題児”はこれで終わるつもりなどない。屈辱の黒星を踏み台にするべく、飛躍への思いを本紙に激白した。

――高校時代からキックを始めたとのことだが

相内 はい。でも全然本格的じゃなくて、月3回くらい部活が終わった後に菅原道場(千葉・富津市)でミット打ちする程度でした。

――プロ野球に入ってからもキックを練習していたとの“噂”がある

相内 入ったばかりのころ、西武ドームの近くにジムがあって、二軍の練習後に週1くらいで行ってたんです。そしたらそこ、ガラス張りで外から丸見えで。すぐファンに見つかって、球団に「こんなことしてる場合じゃないだろ」と連絡がいって。ルーキーで、しかも問題を抱えて入ってきてたから「何してるの?」ってなって…。「投手なのに拳をケガしたらどうするの?」と言われてやめました。それから8年間は全くやっていなかったです。

――8年ぶりにキックの動きをしてどうだったか。デビュー戦に向けて1か月ほど本格的な練習を積んだ

相内 こんなだったかな?っていうのが最初ありましたけど、スタミナとかは1か月で結構つきました。技術面は、正直意識してなかったです。

――投球とキックでは使うスタミナが違うのか

相内 全く違いました。体力にはそこそこ自信があったんで「3分3R余裕だな」とか思ってたんですけど、やってみたら最初の1分も持たなかったです。そこから走り込んだり、ミット打ちを続けたりしました。今は2Rは持つかなというところで、3Rは気合という感じです。今回、2R使わないで終わっちゃったけど(苦笑い)。

――試合はどうだった

相内 もともと「本番は興奮と緊張でアドレナリンが出て痛みを感じない」って聞いてたんですけど、最初に一発軽いインローもらったら痛くて驚きました。思ったより興奮も緊張もなくて…。人前で何かすることに慣れていたのが裏目に出た? それもちょっとあるかもしれないです。

――見えた課題は

相内 一番は慣れだと思うんです。いろいろな面で。リングで戦うことだったり痛みだったり。何本も(骨を)折って慣れていくしかない。酒と一緒ですよ。吐いて飲んでみたいな。今後は試合数をこなしたい? はい。自分一人で決められることではないですけど、できれば間隔を詰めて試合をしたいです。

――今は肋骨が折れているとのことだが

相内 実は試合まで1か月切ったくらいのタイミングで1本折っちゃって、試合でももう1本折れたんです。本当はもう体も動かせるんですけど、周りに聞いたら「しっかり治しておいたほうがいい」と言われて。どうせまたすぐ折れるんですけど、慢性的になるのも嫌だし。練習は4月から再開する予定です。

――再開後のプランは

相内 試合前は(都内)巣鴨の「TARGET」でやらせてもらってたんですけど、ありがたいことにいろいろなところから「出稽古においでよ」と声をかけてもらって。(那須川)天心君のお父さん(弘幸さん)や、この前は所英男さんからも。4月以降は、いろんなところにお世話になってみようと思います。

――ちなみに今は何を

相内 アニメの「ドラゴンボール」をまたイチから見てます。(主人公の)孫悟空は努力家なんですよね。ドラゴンボールを見て、精神を鍛えてます(笑い)。子供のころから好きだったんです。

――今後の目標を

相内 目の前の試合を一つひとつこなして成長していきたいっていうのが正直なところです。もちろん将来は、大みそかに試合ができるような選手になりたい。野球で言えば、大みそかはオールスターみたいなものじゃないですか。そこを目指すわけじゃないけど、そこに呼ばれるような選手になりたいと思います。

☆あいうち・まこと 1994年7月23日生まれ。千葉・柏市出身。千葉国際高時代は“房総のダルビッシュ”の異名を取る投手として注目を集めた。2012年10月に西武からドラフト2巡目で指名されるも、12月に道交法違反で摘発され入団手続きは一時凍結。入団後も未成年飲酒などのトラブルが続き20年11月に引退した。一軍通算は21試合0勝7敗。引退後は格闘家に転向し、今年2月28日にRISE横浜大会でデビューした。185センチ、65キロ。

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