【センバツ】東海大相模エース・石田 「出来過ぎ」の快投、父はアルプス席で目頭熱く

エースの貫禄を見せた東海大相模の石田=3月20日、甲子園

 5試合で計29回1/3を投げて45奪三振、無失点。東海大相模高に10年ぶりの紫紺の大旗を呼び込んだのは主戦石田隼都(3年)の快投だ。アルプス席で見守った父、英生さん(44)は「出来過ぎ。学童のころからマウンドに立つと自分の息子とは思えないと思ってしまう」と目頭を熱くした。

 栃木県真岡市出身。少し大きめの54センチ、3600グラムで生まれた少年が本格的に野球を始めたのは小学4年生のころだ。6年生になると父が監督を務める真岡クラブでエースとして県大会を制し、全国大会に導いた。既に予兆があった。

 「初戦負けだけど、6イニングで10個以上の三振を奪って。私は泣いてしまったけど息子は泣かなかった」と英生さん。高校進学の際、4度目の全国制覇から間もない名門を選んだのも勝ち気な「ドクターK」らしい理由だった。

 野球だけはゆるゆるとした環境でやりたくない―。厳しい寮生活を送りながら1年夏から甲子園のマウンドを踏むと、3度目の聖地で脚光を浴びる存在まで駆け上がった。

 「野球には妥協しない。素手でボールを止めに行くのも私としては勢いがあって好き」と英生さん。ナインと喜びを分かち合う息子を頼もしげに見つめた。

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