大鵬薬品 自社創薬のフチバチニブが進行胆管がんの治療薬としてFDAよりブレークスルーセラピー指定を取得

2021年4月2日
大鵬薬品工業株式会社
Taiho Oncology, Inc.

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)とその米国子会社のTaiho Oncology, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州プリンストン、以下「大鵬オンコロジー」) は、共有結合型FGFR阻害剤フチバチニブ(開発コード:TAS-120)が、前治療歴を有するFGFR2遺伝子再構成(融合遺伝子を含む)を伴う進行胆管がんを対象に、米国食品医薬品局(以下「FDA」)よりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)指定を取得したことをお知らせします。フチバチニブはまだ世界で承認されていない薬剤です。

FDAによる本指定の判断は、4月9日-14日に開催される米国癌学会(AACR)2021で発表される、第Ⅱ相FOENIX-CCA2試験の有効性および安全性結果に基づくものです。

大鵬薬品、専務取締役の宇津木照洋は「フチバチニブがFDAによるブレークスルーセラピーの指定を取得したことを大変嬉しく思います。弊社研究所で創薬されたフチバチニブが、新たな治療選択肢を求めている全世界の胆管がん患者さんに貢献できる薬剤となれるよう、今後も研究開発を進めてまいります。」と述べています。

大鵬オンコロジーのSenior Vice President、Chief Medical OfficerのMartin J. Birkhofer、MD は「局所また転移性肝内胆管がんは現時点で1次治療後の標準治療が確立されていない1ことから、患者さんの予後が不良な疾患です2,3。治療歴のある胆管がん患者さんの治療にフチバチニブが貢献できる可能性をFDAに理解してもらえたことを嬉しく思います。全世界の胆管がん患者さんへフチバチニブをお届けできるよう、私たちはFDAや他規制当局との協議を継続してまいります。」と述べています。

革新的新薬の研究開発を通し、大鵬薬品は今後も世界中の患者さんと医療関係者への貢献を目指します。

【ブレークスルーセラピー(画期的治療薬)指定について】
ブレークスルーセラピー指定は、重篤あるいは命にかかわる疾患に対する治療薬の開発や審査の迅速化を目的としています。指定基準は、既存治療と比較して、少なくとも1つの臨床的に意味のある評価項目において、顕著に改善する可能性があることを示す予備的な臨床エビデンスを示すことです。

【胆管がんについて】
胆管がんの発症頻度は高くなく、米国では毎年約8,000人が胆管がん(肝内、肝外含む)に罹患します4。若年層でも発症しますが、主に高齢者に多く見られます。米国で肝内胆管がんの診断を受ける方々の平均年齢は70歳、肝外胆管がんは72歳です1。肝内胆管がんの5年生存率は9%です(全SEERステージ*合計)2。
*SEERステージ: 米国国立がん研究所の監視・疫学・遠隔成績(Surveillance Epidemiology and End Results; SEER)データベースでは、胆管がんを「限局性」「局所性」「遠隔性」の3つのステージに分類しています。

国立がん研究センターによると、日本における胆管・胆のうがん罹患数は1年あたり約2.2万人,死亡数約1.8万人と報告されています。うち、肝内胆管がんの割合は約10~15%と、希少がんの一つと考えられています5。

胆管がんの主な治療は手術です。手術で腫瘍の完全摘出ができない場合や手術で切除した組織の端にがん細胞が認められる場合(断端陽性)は放射線治療と化学療法を考慮します。ステージⅢとステージⅣは手術でがんを完全に取り除くことは難しく、標準治療の選択肢は放射線治療、緩和治療、肝臓移植、手術、化学療法、画像下治療に限られています3。

【フチバチニブについて】
フチバチニブ(開発コード:TAS-120)は経口のFGFR1、2、3、4の不可逆的かつ選択的低分子阻害剤です。化学療法などの前治療歴がある胆管がん患者さんを含むFGFR1-4遺伝子異常進行固形がんへの治療薬として開発しています。フチバチニブは選択的かつ不可逆的にFGFR1-4のATP結合ポケットに結合することによりFGFR媒介シグナル伝達経路を阻害し、腫瘍細胞の増殖抑制、FGFR1-4遺伝子異常を持つ腫瘍の細胞死を増加します。
フチバチニブは胆管がんの治療薬として、FDAの希少製品開発室よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を2018年5月に受けています。

【大鵬薬品について】
大鵬薬品は、大塚ホールディングス株式会社の事業会社で「私たちは人びとの健康を高め 満ち足りた笑顔あふれる 社会づくりに貢献します。」を企業理念とし、「がん」、「免疫・アレルギー」、「泌尿器」の3領域に特化した研究開発型スペシャリティファーマです。特にがん領域においては、国内におけるリーディングカンパニーの一つとして知られており、グローバル化も積極的に推進しています。がん領域以外におきましても生活の質の向上に貢献できる製品を販売しています。また、コンシューマーヘルスケア事業でも生活者志向を第一に愛情豊かな暮らしを支える製品作りに注力しています。大鵬薬品の詳細については、https://www.taiho.co.jpをご参照ください。

【大鵬オンコロジーについて】
大鵬薬品の子会社である大鵬オンコロジーは、革新的ながん治療薬を早急に開発するための世界水準の臨床開発体制を確立し、米国で販売事業を展開しています。同社のパイプラインには複数の選択的標的薬で構成された経口抗がん剤があります。最先端の技術、ひたむきな研究者、最新式の施設が、世界のがん治療のあり方を決定づける一助になっています。それが私たちの事業であり、情熱であり、私たちの遺産です。大鵬オンコロジーの詳細については、https://www.taihooncology.com/usをご参照ください。

1. The Cholangiocarcinoma Foundation. Treatment Options. https://cholangiocarcinoma.org/the-disease/treatment-options. Accessed February 2021.
2. American Cancer Society. Survival Rates for Bile Duct Cancer. https://www.cancer.org/cancer/bile-duct-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-by-stage.html. Accessed March 2021.
3. Banales, J. et al. Cholangiocarcinoma 2020: the next horizon in mechanism and management. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2020; 17(9):557-588. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7447603/. Accessed March 2021.
4. American Cancer Society. Key Statistics for Bile Duct Cancer. https://www.cancer.org/cancer/bile-duct-cancer/about/key-statistics.html#references. Accessed February 2021.
5. 「がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2018年全国集計報告書」https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/2018_report.pdf (2021年3月11日)