西部ガス「新体制」スタート 地域密着 ワンストップ顧客対応

西部ガスグループ新体制

 西部ガス(福岡市)は1日、持ち株会社に移行し、ガス事業の分社化で長崎、佐世保、熊本に設立した地域会社が傘下に入る、新たな経営体制をスタートさせた。長崎県では「西部ガス長崎」と「西部ガス佐世保」が発足。地域に密着した効率的な経営とサービス向上で、本業であるガス事業の最大限の維持を図る。
 地域会社は、これまで西部ガスと子会社が個別に行っていた都市ガス、LPガス、点検・検針の業務を地区ごとに集約。各社が営業戦略を立て、これまでの全社一律から地区の人口動態やニーズに沿った独自の施策が打てるようにする。2016年に参入した電力小売りの営業も担う。
 西部ガス長崎(長崎市)は、従業員約150人、長崎地区の契約戸数(1月末時点)は都市ガスとLPガスを合わせて約11万2千戸。沼野良成社長は「より地域に密着したワンストップの営業や顧客対応ができるようになる」と話す。
 西部ガス佐世保(佐世保市)は従業員約90人、佐世保地区の契約戸数(同)は計約4万4千戸。大塚隆夫社長は「大口需要の確保で人口減少による悪影響を低減したい。宅地開発が盛んなLPガスのエリアで都市ガス営業の資源も活用し、効率的な需要獲得を目指す」とする。ともに22年度以降の現地採用を予定する。
 西部ガスはグループの経営戦略を担う持ち株会社「西部ガスホールディングス(HD)」に移行。新会社の「西部ガス」は福岡・北九州地区のガス販売や全地区のガス導管事業を手掛ける。島原半島3市のガス事業を担う島原Gエナジー(島原市)を含むグループ会社もHD傘下に入る。
 新体制移行で、人口減少による市場縮小やガス小売り全面自由化といった事業環境の変化に対応する。西部ガスHDの道永幸典社長は「グループ一丸となって頑張る体制が具現化できた」とし、「より地域に密着し『おらがガス会社』と思われるような関係を作っていきたい」と意気込んでいる。

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