ご当地ヒーロー「超神ネイガー」と誘客事業初コラボ コロナ禍に対抗、巧みなファン交流で確かな手応え

[秋田県にかほ市]

 日本海と鳥海山に抱かれ、豊かな自然資源に恵まれている秋田県にかほ市。コロナ禍で観光客が減少するなか、起死回生の取り組みに挑んでいます。ご当地ヒーロー「超神ネイガー」とタッグを組み、観光客や地域の皆さんに元気を届ける「にかほ市with超神ネイガー ゲンキリチャージプロジェクト」です。

◎超神ネイガーとの出会い

 「超神ネイガー」は、日本海沿岸の伝承行事「ナモミハギ(なまはげ)」に登場する"災いを払う来訪神・歳神”をモチーフにした、秋田発の地産地消型ローカルヒーローです。2005年6月にメジャーデビューし、アニソン歌手・水木一郎氏が歌うテーマ曲がヒット。コミック化やネットゲームにも進出するなど幅広く活躍しています。

 にかほ市とネイガーの出会いは2014年にさかのぼります。この年、秋田県では国民文化祭が開催され、にかほ市では「超神ネイガー」に代表されるご当地ヒーローに焦点を当てた、「ご当地ヒーロー文化祭」を開催しました。

  全国からご当地ヒーローや悪役キャラクター45体が大集合し、ヒーローショーに伝承芸能の要素を取り入れた「超神(ちょうじん)寧(ねい)神楽(かぐら)」や、全国のご当地ヒーローが出演するショーが行われ、彼らの姿を一目見ようと、県内外からヒーロー愛好家や親子連れなど800人が訪れました。

◎除雪も手伝うご当地ヒーロー

 やがてネイガーは、小学校の朝のあいさつ運動や交通安全活動を手始めに、除雪作業にも取り組むようになり、市民サービスへの貢献度を高めていきます。ネイガーのラッピングを施したコミュニティーバスを走らせることで利用客への認知度向上にも成功し、にかほ市民にとって、なくてはならない存在となっていきました。

 彼はいつでも、どこでも、誰に対しても必ず秋田弁で話をします。たとえ相手が県外から来た観光客であろうと、首都圏とのオンラインイベントであろうと、「おら、標準語しゃべれねがら」と言って、相手に通じるかも分からない秋田弁で話をするのです。ネイガーの「郷土を愛し、誇りに思う気持ち」の表れです。そのようなヒーローらしからぬ、人間味あふれるところが彼の最大の魅力であり、多くの方々に愛されるゆえんなのです。

◎ネイガーは類いまれな観光資源

 ところが昨年、新型コロナウイルスがにかほ市の観光産業にも大きな影響を及ぼしました。4~9月を比較すると、市全体の観光客入り込みは前年に対しておおよそ5割減少。特に宿泊客にあっては誘客支援事業を実施するまでに、8割を超える大幅な落ち込みとなりました。

 そこでついに、ネイガーが地域のヒーローからまさに変身する時が来ました。観光事業者への支援を目的にした県内からの誘客支援事業の一つ「ゲンキリチャージプロジェクト」がきっかけです。

 「街角ネイガー」と称し、市内各所に参上する試みは話題を呼びました。観光スポットになっている霊峰「鳥海山」に出向いてツーリング中の人たちをあっと言わせました。地元の観光牧場「土田牧場」やスキー場に参上すると、その場に居合わせた子どもたちの興奮はもう止まりません。

  「ネイガーが観光スポットに現れる」と話題になり、活動自粛の影響でネイガーと会えない地域内外の人々が、ネイガーを探し求めるようになりました。そこで、にかほ市はネイガーの参上スポットとスケジュールを専用サイト(https://nikaho-neiger.com/)に公開。すると、サイトをチェックしてわざわざ足を運んでくれるファンが増えたのです。

◎観光案内の「おもてなしカード」

 ネイガーに出会った方には、季節に応じてデザインが変わる限定の「おもてなしカード」を渡しています。これには全てのカードをそろえたいというファンの心をくすぐり、同時に四季を通じて何度も、にかほ市へ足を運んでもらう狙いもあります。

 裏のQRコードにスマホをかざすと、次の参上スポットの案内や、にかほ市の観光地の紹介につながる仕組みになっており、ネイガーお薦めの観光スポットを回って、市内で食事を楽しんでくれる方々も徐々に現れるようになりました。

 今回、コロナ禍で初めて、ネイガーと観光という要素を掛け合わせてタッグを組みました。ネイガーは今年、Twitterフォロワー数が10万人を突破。その驚異の情報発信力と、強烈な郷土愛がもたらす誘客効果に大きな可能性を感じています。

◎可能性は無限大

 「ゲンキリチャージプロジェクト」の活動の中で、一つの気付きがありました。子どもたちに元気を届けたいという思いから、修学旅行や遠足でにかほ市を訪れてくれた小中学生をサプライズでお迎えをしたところ、私たちの想像を超える反響が寄せられたのです。

 秋田県大仙市から遠足に訪れてくれた小学生との交流では、突然のネイガー登場に子供たちは当初恥ずかしがっていたなか、ネイガーのファンだという先生が大興奮でした。生徒そっちのけでカメラのシャッターを切る先生の姿に子どもたちも緊張が解け、いつの間にかネイガーと将来の夢を話したり、野球のフォームを指導してもらったりと、遠足以上の楽しい時間を過ごせた様子でした。先生からは「来年の遠足もにかほ市に来ます!」と言っていただきました。

 これらをヒントに、今後はネイガーとともに、にかほ市の地域資源を組み込んだ教育旅行向けのプランを企画・展開していくことを計画しています。例えば、にかほ市にはいくつかの博物館があります。「フェライト子ども科学館」での実験サポートや、「白瀬南極探検隊記念館」などともタイアップをして、ネイガーが説明するミュージアム巡りをはじめ、自然スポットやジオパークの案内も計画しています。

 ネイガーに潜む可能性は無限大だと感じています。そのパワーを私たちがどこまで引き出せるか。引き続き、チャレンジしてまいります。

「なまはげ」をモチーフに誕生したにかほ市のご当地ヒーロー「超神ネイガー」
秋田県にかほ市の地図
国民文化祭:にかほ市「ご当地ヒーロー文化祭」に出演したネイガーたち
小学校の朝のあいさつ運動
除雪作業に励むネイガー
コミュニティーバスもネイガーのラッピング
鳥海山に突如現れたネイガーと交流する興奮気味のライダーたち
ネイガーが観光客らに直接手渡す「おもてなしカード」
にかほ観光なびのQRコード
にかほ市withネイガーオフィシャルサイトのQRコード