800年前の石仏 大村市文化財に 宝冠、如来像など表現

上八龍の滑石製石仏(大村市教委提供) 

 大村市教委は、約800年前に制作された石仏「上八龍(かみはちりゅう)の滑石(かっせき)製石仏」「上八龍の線刻仏(せんこくぶつ)」=いずれも弥勒寺町=の2件を、3月24日付で市指定有形文化財に登録した。

 市教委文化振興課によると、「-滑石製石仏」は滑石という柔らかい石を彫り出した石仏で、宝冠や台座の表現が見られ、仏像に関して一定の知識を持った人物が制作指導をした可能性がある。
 「-線刻仏」は縦約1.8メートル、横約3.1メートルの安山岩の表面に如来像を刻んだもの。修験者のような専門知識を持った人物が、自身の徳のため制作したと考えられるという。
 同課によると、市内には平安時代末から鎌倉時代にかけての石仏が約30体残されており、今回指定した以外にも3件を「郡地方の中世石仏群」として市の有形文化財に登録している。いずれも16世紀のキリシタンによる破壊を免れた貴重な資料で、松原、福重地区に集中的に分布しているのが特徴という。
 今回の指定で、市指定有形文化財は計12件となった。

上八龍の線刻仏(大村市教委提供)

© 株式会社長崎新聞社