男子平泳ぎのホープ、佐藤の日本選手権はニューレコードで幕を開けた。100メートル準決勝で日本学生新の59秒18をマーク。それでもなお、「最後まで楽に泳げていい感じ」。余力があるというから期待は一層膨らむ。
前半は3番手で追う展開。50メートルからの伸びが爆発的だった。「最後、ごたついた感じもあったので、落ち着いていけばもっといいタイムが出るのではないか」。涼しげな笑みに、揺るがぬ自信が見て取れる。
宿敵、渡辺(トヨタ自動車)との直接対決も第1ラウンドを制した形だが、100メートル決勝、そして大会第4、5日に控える200メートルへと続く気の抜けない一発勝負。初戦のボルテージは抑えめだ。
前日練習の際、自らに言い聞かせるように語っていた。「相手のことを考えてもどうしようもない。どんな感じで泳ぐかはずっと意識してきた」。今まで経験がないという緊張感の中、己を見つめて戦いきる覚悟だ。
最初のヤマ場は4日の100メートル決勝。「派遣(標準記録=59秒21)を切るのが一番の目標だけど、59秒を切れたらいい。これで終わりじゃないので気を抜かず決勝でもいいタイムで泳ぎたい」。20歳の新鋭が、まずは一つ目の星をつかみにいく。