【SDGs高校発】ー11ー延岡(下) 医療人材の育成貢献

専門家の指導の下、人工心肺装置につながれた豚の肺を触り、感触を確かめる生徒

 本校には県内では唯一のメディカル・サイエンス(MS)科がある。医師確保という地域課題の解決や、より質の高い学びを提供する体制を整えるために、2011年度に理数科を改編して設置された。

 MS科が設置されて以来、大学、医療機関、自治体の協力を得ながら医師による出前講義、病院研修、手術見学を実施してきた。その効果もあり、10年度までの5年間における県北の県立学校5校からの大学医学部進学者は延べ23人だったのに対し、MS科はこれまでの8年間で延べ50人を輩出している。

 1期生の福良拓也さん(25)=延岡市出身=は、宮崎大医学部を卒業し、19年度から県立宮崎病院で研修医として研さんに励んでいる。

 スーパーサイエンスハイスクールの指定を受けたことを契機に、普通科では看護師や理学療法士などのメディカルスタッフ育成に取り組んでいる。昨年12月には1年生が九州保健福祉大学を訪れ、実験や実習に取り組んだ。臨床工学コースでは、人工呼吸器につながれた生の豚の肺と心臓をラップの上から触り、正常な部分と肺胞がつぶれてしまった部分の違いを体感した。

 昨年来のコロナ禍で、健康は持続可能な経済活動を支える社会インフラであることが明らかとなった。本校では医療を通してSDGs実現に貢献できる人材育成に取り組んでいる。(教諭・郡司泰祥)=日曜日掲載=

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