竹炭製品輸出に力 竹炭の里(国富)

丹念に手入れされた竹炭の里所有の竹林。飯田浩一郎社長は「原料へのこだわりも海外からの高評価につながる」と話す

 竹の栽培から商品製造・販売までを一貫して手掛ける竹炭の里(国富町)は、国際的に取り組みが推進されるSDGs(持続可能な開発目標)を追い風に海外攻勢を強めている。特に、水の浄化にも使える自社製品の竹炭スティックは、環境意識が高いフランスでニーズが増加。製造方法や土窯を改良するなどして量産態勢を強化し、商機につなげている。

 同社は1997年の設立以来、丹念に育てた4年以上のモウソウチクを使い、昔ながらの本格土窯で竹炭や竹酢液を作っている。これらを原料とした化粧品は使用者から高い評価を得てロングセラーに。デトックス効果をサポートする食品添加物の竹炭パウダーも人気となっている。

 海外展開は2016年のシンガポールを皮切りにスタート。19年からは日本貿易振興機構(ジェトロ)を中心に中小企業の海外展開を支援する「新輸出大国コンソーシアム」の制度を利用し、環境先進国であるフランスへの輸出を目指し始めた。

 同社の竹炭は製造過程で何一つ無駄になるものがなく、その点が環境に優しい製品として現地バイヤーに高く評価された。

 また、フランスでは使い捨てプラスチックからの脱却などを目標に掲げた「循環経済法」が施行され、資源循環の意識が高まっていることも、水に入れて繰り返し使える竹炭スティックへの需要増を後押ししている。

 現在、フランスの業者2社から数千本から1万本ほどの注文が入っているが、竹をそのまま炭にして適当な長さに切る作り方では、完成までに時間がかかるため注文に応えることが難しかった。そこで、先に竹を切って焼く「姿焼き」の工法を研究。土窯も機密性や耐久性を高め、高品質で量産できる態勢を整えた。

 さらなる品質や生産効率の向上、コスト低減を目指して竹の乾燥具合、土窯に入れる場所、炭化温度など試行錯誤を続ける同社。飯田浩一郎社長は「環境に優しい竹炭の特長は時代の趨勢(すうせい)に合っており、アメリカやイギリスからも関心が寄せられている。対応できる人材育成にも力を入れながら、事業の柱として輸出部門を伸ばしていきたい」と話している。

© 株式会社宮崎日日新聞社