プロ初対戦の相手は柳田悠岐… ロッテの191センチ「土居魔神」が9球で得た“収穫”

ロッテ・土居豪人【写真:荒川祐史】

開幕戦で初の1軍マウンド、最初に対峙したのは柳田悠岐

3月26日。迎えたペナントレース開幕戦。ロッテの土居豪人投手は、1軍デビューを果たした。ブルペンでは平常心を保っていたが、いざマウンドに上がると、自然と緊張感に覆われた。

舞台は、敵地PayPayドーム。相手は、4年連続日本一の王者ソフトバンク。迎えた打者は、柳田悠岐。5点リードされた8回。たとえ“敗戦処理”でも、思いにブレはなかった。

「抑えたい気持ちでいっぱいでした」

物怖じせず、自らの生命線である直球で内角を攻めた。9球を投じ、結果は四球だったが、球界を代表する強打者相手に直球でファウルを取れたことは自信になった。

その後もグラシアル、中村晃、デスパイネと、強打者たちと対戦。ずっとテレビで見てきたバッターを目の前にすると、体に力が入った。1回を1安打2四球で2失点とホロ苦デビューとなったが、「球界の中でも凄い打順だと思うので、そこを経験できたのはプラスだったのかな」と前向きに捉える。

吉井コーチからは「土居魔神」と命名

191センチの長身から投げる角度のあるストレート。フォークで空振りを奪う投球スタイル……。吉井理人1軍投手コーチには「土居魔神」と命名された。“本家”佐々木主浩氏の投球は動画で研究。「真っすぐ、フォークがメインで…やっぱりフォークが凄いですね……」。同じ2球種に、まざまざと自らとの差を感じる。

プロ入り後の2年間は2軍暮らし。昨秋のフェニックス・リーグで兆しが見えた。吉井コーチからのアドバイスで、フォークを改良。「変な抜け方が少なくなって、落差も出るようになりました。自分の場合はちょっと動くのでそれもいいかなと思います」。手応えは今春のキャンプでさらに増し、初の開幕1軍につながった。

成長曲線をさらに急角度にすべく、探究を怠らない。昨年9月からは、野球指導のサロンにも通いだした。瞬発力や爆発力に重きを置いた筋力トレーニングで、球速のアベレージが上昇。今季開幕から登板した3試合での平均は147.4キロ。まだファウルで粘られることも多いが、バットに空を切らせる直球にまで成長させたい。佐々木氏がフォークで三振を量産したのも、強いストレートがあったからこそ。21歳の右腕も、自らが秘めた伸びしろを見つめる。

チームでは、1軍でアピールを続ける藤原恭大や、山口航輝らと同学年。「自分も頑張らないといけない」と闘志を燃やす。念願の1軍デビューを果たし、次は1年間1軍で投げることが目標。「チームから信頼されて、大事なところで投げられるように」。自慢の直球とフォークで、“幕張の大魔神”に成り上がってみせる。

○土居豪人(どい・ひでと)2000年4月2日生まれ、愛媛県宇和島市出身。21歳。中学時は宇和島シニアに所属。松山聖陵高では3年春に選抜出場。3年夏は県大会初戦で新田高に敗れる。2018年のドラフトでロッテから8位指名を受け入団。191センチ、92キロ。右投げ右打ち。(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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