原爆碑巡りにウォークマップを 長崎平和推進協が出版 証言の会はビデオ制作へ

長崎平和推進協会が出版した「長崎の原爆遺跡・慰霊碑 ウォークマップ」

 公益財団法人「長崎平和推進協会」は、長崎原爆の被爆遺構や慰霊碑の写真や所在地を1冊にまとめた「長崎の原爆遺跡・慰霊碑 ウォークマップ」(A5判、123ページ)を出版した。同協会の被爆75周年事業の一環で「本を通し、遺跡や慰霊碑を身近に感じてほしい」としている。
 同協会が被爆60年の2005年に発行した初版ウォークマップの増補改訂版。紹介した碑などの数は、改訂前130カ所から新たに設置されたものなどを加え190カ所に増やした。新型コロナウイルス対策として、ブックカバーやしおりには抗菌処理も施した。
 長崎市内を爆心地周辺や浦上天主堂周辺など八つのゾーンに分類し、各ゾーンに点在する被爆遺構や慰霊碑の場所を地図に明記。1カ所ずつ写真と、スマートフォンなどで読み込むとインターネット地図につながるQRコードを掲載した。碑文や説明文も載せ、設置された経緯や被爆の実相が伝わるようにしている。
 1100円。好文堂書店(浜町)やメトロ書店(尾上町)など市内書店のほか、同協会のウェブサイトで販売している。同協会の高比良則安さんは「被爆の風化が進み、中には忘れられた慰霊碑もある。本を手にぜひ各地に行ってもらい、平和の思いを新たにしてほしい」と話している。

 被爆証言集を発行する市民団体「長崎の証言の会」は今年、活動の一つである修学旅行生ら向けの被爆遺構案内「原爆碑巡り」のビデオを制作する。1983年から碑巡りを手掛けているが、昨年から新型コロナウイルスの影響で修学旅行の中止や延期が相次ぎ、活動機会が減少。学校に提供するなどして、平和学習に生かしてもらう。
 10種類のコースのうち、手始めに爆心地から約500メートルの市立城山小周辺のコースについて、メンバーが説明しながら巡る様子をビデオに収め、その後も各コースのビデオ化を進める方針。被爆者の森口貢事務局長(84)は「会の活動を全国に広めるためオンラインを使った新たな活動を考えていきたい」と語った。

「長崎の証言の会」が取り組む「原爆碑巡り」の様子=2019年、長崎市内

© 株式会社長崎新聞社