【新日本】オスプレイがIWGP世界ヘビー級第2代王者に コロナ終息後の故郷凱旋と世界防衛ツアーを狙う

オスプレイ(上)は空中殺法で飯伏を追い詰めた

「ユナイテッド・エンパイア」を率いる暴君が頂点に立った。新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級選手権(4日、両国国技館)は「NEW JAPAN CUP」覇者のウィル・オスプレイ(27)が飯伏幸太(38)を破り、第2代王者に輝いた。苦難の英国時代を乗り越え日本でスターになり、新型コロナウイルス終息後の故郷凱旋と世界防衛ツアーを狙う。

序盤から驚異の身体能力で王者の飯伏を追い詰めた。

スタンディング式のカミゴェから正調カミゴェを浴びながらも、オスプレイはカウント3を許さない。ジャンピングニーからヒドゥンブレイド(後頭部へのランニングバックエルボー)を決め、最後はストームブレイカーで激闘に終止符を打った。

団体の新たな最高峰王座を手にしたオスプレイは試合後、1月4日東京ドーム大会で敗れたオカダ・カズチカ(33)を次期挑戦者に指名したが、直後に鷹木信悟(38)から挑戦表明を受けた。「まずはシンゴだ。その次にオカダとやってやる」と認め、鷹木とのV1戦と、同戦の勝者がオカダと防衛戦を行うことが決定的となった。

ここまで山あり谷ありのプロレス人生だった。「誰もが俺の才能を疑っていた。英国ではあまりプロレスがメジャーではない。『プロレスでは生計を立てられない』と言われてきた」と振り返る。レスラー活動の傍ら電気技師として働いていた22歳のとき、父のピーターさんが心臓発作で倒れ、オスプレイが家計を支える存在となった。

プロレスをあきらめることも頭をよぎった時期に、新日本からオファーが舞い込んだ。異国で才能を開花させ、手にしたファイトマネーは全て英国に住む両親に送った。その両親が新日本の会場に応援に来てくれたのが、2019年8月のロンドン大会だった。

「父は心臓の調子がよくないし、母も12時間以上飛行機に乗れないから、日本に来て俺の活躍を見ることはできない。けどコロナが終わったら、また俺が新日本を英国に連れていきたい。もちろん王者としてね」

その思いは、新設王座を世界一のベルトにするためのプランにも直結する。「『世界』の名前が付くくらいだから、英国でも米国でもカナダでもイタリアでも台湾でも、どこでもタイトルマッチをやりたい。そうでなければIWGP“日本”ヘビー級王座になってしまうだろ?」と目を輝かせた。「俺たち次世代が新日本の未来を率いていく。今まで見たことのない舞台に連れて行ってやろう」。暴君にとって、ベルト奪取は新たな伝説の序章にすぎない。

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