盛況のBTCCオフテスト。新エースはトヨタ・カローラに手応え「僕の自信を刺激する」

 2021年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、5月初旬の開幕戦スラクストンに向け複数のチームがプライベートテストを開始しており、3月最終週から各陣営が盛況なオフテストを継続中だ。ブランズハッチでは今季からBMW330i M-Sportを投入するシシリー・モータースポーツと名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)がホストを務め、フォード陣営のモーターベース・パフォーマンスとMBモータースポーツ、そして新型クプラを投入するチーム・ハードが参加している。

 一方、TOYOTA GAZOO Racing UKとして2台のトヨタ・カローラBTCCを投入するスピードワークス・モータースポーツ(SWM)は、同じくドニントンパークとスネッタートンでセッションを進め、新エースに就任したロリー・ブッチャーは初テストを終えたカローラに対し「僕の自信をさらに刺激してくれるマシンで、今季に向けなんだかウキウキした気分だよ(笑)」と、その手応えを口にした。

 トヨタのプライベーターとして長らくシングルカー体制で戦ってきたSWMは、昨季からTGR UKのステータスを得て新型カローラ(日本名:カローラ スポーツ)にマシンをスイッチ。そしてTGRワークスカラー採用で2台体制へと拡充を図った今季は、トム・イングラム離脱にともないブッチャーとサム・スメルトの起用をアナウンスしている。

 2020年シーズンはモーターベース・パフォーマンスが投入した、こちらも新型の第4世代フォード・フォーカスSTで3勝を挙げているブッチャーは、初のサンプリングとなったカローラの印象を次のように語っている。

「まずはこうしてサーキットに戻り“Race Head”を取り戻すことができて良かったよ。このオフに理想的なテスト日数を設定し、カローラの感触を充分に得るのが理想的だからね」

「BTCCのキャリアを通じて、過去4年足らずで5台目のマシンをドライブすることになったが、これは望外に幸運なことだ。以前の経験が間違いなく役立つし、僕は良いクルマがどう感じられ、悪いクルマがどう感じられるかを知っている」と、3代目フォーカスST、MG6 GT、FK2型ホンダ・シビック・タイプR、そして4代目フォーカスと乗り継いできたブッチャー。

TOYOTA GAZOO Racing UKとして、今季から2台のトヨタ・カローラBTCCを投入するスピードワークス・モータースポーツ(SWM)
ロリー・ブッチャーは初テストを終えたカローラに対し「僕の自信をさらに刺激してくれるマシンで、今季に向けなんだかウキウキした気分だよ(笑)」と、その手応えを口にした
パワー・マックス・カー・ケア・レーシング新加入のダン・ロイドは、自身初の本格的なオフテストで走行距離を稼いだ

■今後も複数のテストが予定され、22日には公式テスト“メディアデイ”が行われる

「今回、言わなければならない点は、カローラは僕の自信を刺激して予想よりも早く限界を押し上げ、リスクを取ったドライブを促してくれたんだ。僕がリミットだと感じるその先までプッシュしても、破綻する兆候を見せなかった。これこそ、僕がマシンに臨むポイントなんだ」と続けたブッチャー。

「カローラは僕にポジティブかつ正しいフィードバックをもたらし、完璧に期待に応えてくれた。スネッタートンで最初の数周を終えた段階で、ピットに戻って『変更点はそれほど多くない』と伝えたよ」

 また昨年末のクロフトで、短い距離ながらすでにカローラのステアリングを握っていたスメルトは、ドライ路面も含めた今回の2度のセッションで「いくつかの小さなトラブルは経験したが、それが冬のうちで良かった。全体に力強い走りが出来て満足しているし、多くの可能性を感じる。シーズンが待ち遠しいよ」と、ブッチャー同様にカローラの性能を評価している。

 そのほか、このドニントンでSWMと走行枠をシェアしたパワー・マックス・カー・ケア・レーシング新加入のダン・ロイドは、大ベテランのジェイソン・プラトとともにファクトリーカーのヴォクスホール・アストラBTCCの初テストに臨み「シーズンフル参戦開始前に、クルマのテストができたのはこれが初めて(笑)」と自らの境遇を引き合いにしつつ、アストラの潜在能力を感じ取っている。

「アストラでさまざまなセットアップやコンポーネントを試せた。オープンテストのためトラックの混雑もあって忙しかったが、本当に有益だったよ。僕は前輪駆動ツーリングカーばかり経験しているが、NGTCアストラはTCRやTC1(旧WTCC世界ツーリングカー選手権向け規定)とは非常に異なる乗り物だ」と続けた、初代TCR UKチャンピオンでTCR公式テスターも務めたロイド。

「チームは僕を心から歓迎してくれ、ジェイソンは本当に前向きでオープンなフィードバックを共有してくれた。全体としてとても有望で、良いペースを見い出すことができたよ」

 各陣営は今後も複数のセッションをこなす予定で、4月はクロフトでの合同テストに続き、22日には恒例の公式テスト“メディアデイ”を、今季もシルバーストンで開催。無観客開催が決まっている5月8~9日の開幕戦スラクストンに先立ち、さらに複数のテスト機会が予定されている。

MBモータースポーツに移籍のジェイク・ヒルも、第4世代フォード・フォーカスSTに「とても感銘を受けた」と満足げ
「久々にシートに戻ったけれど、わずかな時間ですぐに馴染むことができた」とWSRの4冠王者コリン・ターキントン
2日間のテストで4名のレギュラーが揃ったチーム・ハードは、後半にジャック・ゴフとニコラス・ハミルトンがドライブ。「真新しいクプラ・レオンでの初日は本当にポジティブ」とゴフ

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