「みんなのうた60」アンバサダー・井ノ原快彦の歌への思い。「どんな曲でも僕らが歌えばV6の曲になる」

NHKの「みんなのうた60」プロジェクトのアンバサダーに就任したV6・井ノ原快彦が、アンバサダーを務める心境や、歌への思いを語った。

これまで60年にわたり、それぞれの時代に寄り添った歌をおよそ1500曲も届けてきた「みんなのうた」。同プロジェクトでは、放送開始から60年を迎える今年1年間、番組やイベントなど、さまざまな形で「みんなのうた」の魅力を徹底的に伝えていく。

そんな記念すべきプロジェクトのアンバサダーとなった井ノ原は「60年も続いた番組に僕を呼んでくださって、感謝しかありません」と喜びを伝え、「北風小僧の寒太郎」など、家族の中で、3世代で歌える歌があるのはすごいことで「今は1人ずつスマートフォンを持って、自分だけの世界になりがちだけど、家族そろって番組を見ながら、それぞれの思い出が加わって話が広がっていくような、日本中でそんな現象が起こったらうれしい」と話す。そして、「100周年の時に、自分が生きてきたら85歳。どうなっているか分からないけど、(また番組ができるように)健康で、体が動くようにしておきたいですね」と笑った。

この機会に過去の曲も聴き直したという井ノ原。「山口さんちのツトム君」を聴いて、「昔はイチゴがすっぱかったな」とあらためて思ったそうで、「イチゴをつぶして砂糖と牛乳をかけて食べて、最後はピンク色の牛乳を飲むのが最高の幸せだった」と振り返り、合わせて、子どもの頃に住んでいたマンションの名前を思い出したりしたそう。もしも自分がカバーするなら、「それぞれの曲にファンが多いから、お前にカバーしてほしくないと言われてしまいそうだけど…」と前置きしつつ、「『北風小僧の寒太郎』の『かんたろー』の部分も歌ってみたいし、『切手のないおくりもの』のジャズバージョンがすごくよくて。8小節を繰り返しているだけなのに、とてもいい曲なので歌ってみたいですね」と述べた。

また、「大人にも刺さる曲が多い」という「みんなのうた」の楽曲。番組を例えるならば「僕はこたつの温もり方が好きなんですが、『みんなのうた』は、そんな温かさだと思います。暖房やオイルヒーターとか、電気毛布とか床暖房とかいろいろあるけど、『みんなのうた』というフィルターを通すと、(こたつのような)ぬくもりが生まれる気がして、寄り添ってくれる音楽のように感じます」と語り、「現代人のストレスを解消するには、音楽を聴くことと歌うことがいいらしくて、それは昔からみんなが無意識でやってきたこと。うれしい時も、悲しい時も歌を歌ってきた。僕も家で歌いたくなったら、ギターを弾いて歌っています。歌って、人によって解釈が違うから、勝手に自分の歌になっていく。僕らもずっと歌を歌ってきましたけど、いい仕事ですよね」としみじみ。

V6の代表曲といえる「WAになっておどろう」については、「レコーディングの時に、別の曲を歌うことが決まっていたのに、何でこの歌を歌うことになったのか…。スタッフが紛れ込ませてきたんですけど、みんな『この曲だ!』ってなったんですよね。『みんなのうた』みたいにスーッと入ってきて。たとえコンサートで歌わなくても、どこかでこのリズムは鳴っているというか。6人だから輪になりやすいし、輪になることを意識してきた部分もあるので、僕らの原点になっている気がしますね」と特別な思いを明かした。

そして、あらためてV6への思いを問われると、「みんなで話した時に、V6の曲を調べたら400曲もあって。楽曲を聴くとその当時のことが思い浮かんでくるような部分がありました。最近は海外の方に提供してもらった曲を歌うことも多いんですが、英語での仮歌で、V6で歌うイメージがつかなかったり、スタッフさんから『ちょっと若めの曲じゃない?』と言われたりしても、自分で言うのもなんですが、どんな曲でも僕らが歌うと、V6の歌になるんですよ。どんな曲でもV6の曲として成立させられる力があるなと、あらためて感じています」と、これまで培ってきた経験からくる自信を伝える。

さらに、グループ活動のいい部分を聞かれると、「歌詞を忘れても誰かが歌ってくれる。なんとかなる。これは半分冗談で半分本当です」と笑いつつ、「1人が歌えなくなっても、誰かが歌ってくれるのはグループの強みですよね」と語り、かつてのライブでの出来事を述懐。コンサート中に、頸椎捻挫し、病院から戻って来た際に、舞台袖から、ステージ上の5人を見て頼もしく感じたそうで「自分があそこにいたんだなって思って誇らしくなったし、早くそこに行きたいって思いました。僕がいなくても、ちゃんと僕のことを背負って歌ってくれて、気持ちをつなげてやってくれていたのが、グループでよかったなと思いました」と振り返った。

なお、5月8日にNHK総合では、井ノ原が司会を務める「みんなのうた60フェス」(午後7:30)を生放送。石丸幹二、Foorin、古川雄大、森山直太朗、山崎育三郎らが出演し、「みんなのうた」の歴史を彩ってきた名曲の数々を歌唱する。

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