HPDボス、アキュラDPiを使用するWTRとMSRのシームレスな移行を評価/IMSA

 ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)のデビッド・サルターズ社長は、2021年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で早くから成功を収めたウェイン・テイラー・レーシング(WTR)とマイヤー・シャンク・レーシング(MSR)が、アキュラARX-05への移行を迅速かつ効率的に行ったことを称賛した。

 今季、キャデラックDPi-V.R.からアキュラARX-05にマシンをスイッチしたWTRのリッキー・テイラーとフィリペ・アルバカーキは、開幕戦デイトナ24時間レースをアレクサンダー・ロッシ、エリオ・カストロネベスとともにデビュー戦を勝利で飾り、開幕2戦を終えた段階でDPiクラスのランキングトップに立っている。

 一方、長年ホンダ/アキュラ車を走らせているMSRは、チームとして5年ぶりとなる最高峰のプロトタイプレースに復帰。先月半ばに行われたセブリング12時間レースで、デイン・キャメロン/オリビエ・プラ/ファン・パブロ・モントーヤ組が3位表彰台を獲得した。

 アキュラのDPiプログラムは、チーム・ペンスキーとの3年間にわたる取り組みの終了とともに、前述の2チームに引き継がれた。

 この移行がどのように行われたか問われたサルターズ氏は、それが「実にシームレス」だったと答えている。

「アキュラはパフォーマンスを重視しており、レースを愛している」と彼はSportscar365に語った。

「HPDは(アキュラとそのチームをつなぐリンクの)真ん中にいる。私たちは、親会社のモータースポーツを管理するエンジニアリング組織だ。つまりレースに参加したい者たちが集まっているんだ」

「だから正直に言うと、とても簡単だ。誰もが勝ちたいと思っているので、それを実現するために何が必要かを考え、すべてのロジスティクスに対応している」

「我々はアキュラとともに独自のパワートレインを製造し、それを管理している。したがって、私たちは(レーシングプログラムに)不可欠なんだ。そこには関与する第三者はいない。私たちはパワートレインについて知っているし、電子機器をコントロールすることもできる」

「ウェイン・テイラーの組織はアキュラARX-05について学ぶ必要があり、マイク(・シャンク)のところもそうだったが、彼らは非常に賢い」

「2020年のシーズンの終わりから2021年の初めまでの間に、誰もがクルマについて学び、カレンダーのもっとも困難なイベントに備える必要があったため、短時間で多くの作業が行われた」

「彼らには脱帽したよ、皆にだ。クルマはほぼ完璧に走ってくれた。デイトナに行きそこで優勝できたことは、本当に素晴らしいことだと思う。同時にDPiはいいフィールドだと感じた」

「すべてのチームがリードラップをとることができた。普通ではありえないことだ。そのなかでいくつかのインシデントもあった。しかし、最後の2時間は私が見てきた中で、もっともエキサイティングなスポーツカーレースのひとつだった」

■目指すところは同じでも、チームごとに異なるアプローチ

ウェイン・テイラー・レーシングの10号車コニカミノルタ・アキュラARX-05

 サルターズはWTRとMSRの両方にそれぞれ「独自のスタイル」があり、アキュラの新しい、しかし試行錯誤されたアプローチを補完するのに役立ったと述べている。

 アキュラがALMSアメリカン・ル・マン・シリーズに参加していた2007~2009年までのプロトタイプレースでは、複数のファクトリー支援チームが同様の評価を得ていた。

 ハイクロフト・レーシング(LMP1)とフェルナンデス・レーシング(LMP2)はどちらも、2009年シーズンにアキュラのマシンでタイトルを獲得した。その後、HPDのバナーの下で、よりカスタマー重視の運営方式に切り替えている。

 トップクラスのプロトタイプレースにおけるアキュラのネームプレートは、2018年にチーム・ペンスキーによって復活。アキュラ・チーム・ペンスキーは翌2019年と2020年にかけて連続してDPiドライバー、チーム、メーカーのタイトル3冠を獲得した。

「ペンスキーは傑出していたが、ウェイン・テイラーとマイヤー・シャンクも素晴らしいチームだ」とサルターズ。

「彼らは皆、レースの進め方を知っている。それは(チームごとに)異なるが非常に似ている」

「それぞれに異なるニュアンスがあるが、ほとんどのレースチームは同じところを目指している。レース中にクルマをうまくセットアップし、ドライバーのためにクルマのバランスをとり、タイヤとクルマの面倒をみようとしているんだ」

「おそらくは、いくつかのキャラクターのせいでそこに差が生まれるのだろう。だが、それがいいんだ。私たちは皆、人間なのだからね」

「さまざまなタイプの人たちと仕事をするのはいいことだ。それはとても楽しいことでもある。ペンスキーのスタッフたちには驚かされたが、ウェイン・テイラーとマイヤー・シャンクの人々も同じように驚異的だ」

マイヤー・シャンク・レーシング・w/カーブ・アガジャニアンの60号車アキュラARX-05 2021年IMSA第2戦セブリング12時間
2021デイトナ24時間レースのトップチェッカーを受けるコニカミノルタ・アキュラARX-05(ウェイン・テイラー・レーシング)

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