東京五輪はやっぱりスポンサーありき? 組織委「聖火リレーの宣伝車両は不可欠」

福島の聖火リレーを走ったなでしこジャパンのメンバー

東京五輪・パラリンピック組織委員会は6日、5月15日から聖火リレーを予定している島根県の丸山達也知事と面会を行った。

同県内の聖火リレーを巡っては、2月17日に丸山知事がコロナ対策などを不服として「現状のままでは中止とせざるを得ない」との要望書を提出。だが、その後は態度を軟化させ、この日の協議で実施の方針が確認された。

面会後、組織委の布村幸彦副事務総長は取材に応じ、丸山知事から3つの要望を受けたことを明かした。その中には「多くのスタッフを伴うパートナー車両が参加しない形で実施できないのか」「パートナー車両の音楽イベントのような大音量を下げることができないのか」という要望があったという。

聖火リレーに帯同するスポンサー企業の「宣伝カー」を巡っては、かねて問題視されていた。初日の福島県内では、大音量の音楽を流しながら車上でマイクパフォーマンスする映像がSNSで拡散。「騒音が大迷惑だ」「宣伝車両でランナーが見えない」など批判が殺到していた。

最も問題視された「大音量」について、布村氏は「そういう事例をSNSでご覧になったようです。その点につきましては福島でのスタート以来、音量を下げる取り組みをパートナーの方々にしていただいている。改めて相談し、どのような対応が可能か検討していきたいとお伝えした」と受け入れる姿勢を見せた。

しかし、宣伝車両自体の排除については「パートナーの協賛によって聖火リレーは実現できるもの。パートナー車両の帯同は不可欠ということを説明させていただいた」と主張。その上で「ご理解をいただけたと思っています」と島根県サイドが受け入れたと説明した。この件について改めて記者団から質問が出たが、布村氏は「基本的に五輪もパラリンピックもパートナーの協賛によって実現できている。その実情を説明した」と話した。

コロナ禍での聖火リレーを巡っては、必要最低人数のスタッフが求められている。リレーコースとなっている地元民からは「宣伝車両による交通規制で迷惑している」との声も聞かれるが、五輪・パラリンピックにとって、やはり〝スポンサーありき〟は譲れないようだ。

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