血中がん細胞自動捕捉 県産業技術センター

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開発した装置を操作する大永博士=県産業技術研究開発センター

 県産業技術研究開発センター(高岡市二上町)は、樹脂チップで血液中のがん細胞(血中循環腫瘍細胞、CTC)を捕捉する作業を自動化する装置を開発した。作業の効率化と精度アップで、がんの診断や治療の研究推進につながると期待される。産業医科大(北九州市)に臨床研究用の第1号を納入し、実用化に一歩近づいた。 (藤田愛夏)

 がんの診断や治療には、細胞を調べる必要がある。一般的な検査は患部の一部を切り取るため、患者の体への負担が大きく、繰り返せないという課題がある。

 同センターは、がんを患うと血液にわずかに混じるCTCに着目し、2010年、少量の血液からCTCを捕らえる樹脂チップを開発。表面の微細な凹凸に血液を流すと突起に付着する仕組みで、乳がんや肺がんなど多くのCTCを捕捉できることを臨床テストで確認した。

 ただ、従来はピペットなどで数時間かけ、患者の血液サンプルや試薬の計量、チップへの流し込み、CTCの染色、器具の洗浄をこなしてきた。新しい装置は大半の工程を自動化することに成功。作業ミスを防ぐこともできる。

 CTCチップは少量の血液で検査できるのに加え、抗がん剤や手術などの治療効果や再発の有無を継続的に観察できる。納入先となった産業医科大の田中文啓院長は「手作業だと操作にむらが生じ、信頼できる結果を得られない恐れがあった。チップを使った研究がさらに進めば、がん治療にとって大きな進歩が期待できる」と話す。

 研究を続ける県産業技術研究開発センターの大永崇博士(59)は「10年かけてチップを広げるベースができた。少しでも早く治療の現場で使えるようにしたい」と語った。