通学かばん「なぜ選べないの?」 熊本市の一部中学 取り扱いで1業者指定

©株式会社熊本日日新聞社

学校名を入れないかばんを認め、指定を2業者に増やした熊本市の中学校

 熊本市の市立中学校が指定する通学かばんについて、「1業者からしか買えない学校がある。なぜ選べないの」との声が「SNSこちら編集局」(S編)に複数届いた。市教育委員会の指針は、かばんを含む学校指定物品の取り扱いを1業者限定で指定することを禁止している。指針は浸透しきれてないのか。現場を取材した。

 市教委によると、2019年9月、保護者の負担軽減などを目的に、標準服(制服)やかばん、靴下など六つの学校指定物品の指針を改正。1業者だけの取り扱いにつながる物品指定などを原則禁止から「全面禁止」に厳格化し、20年度からの本格実施を求めていた。

 「市教委の指針に沿わず、大丈夫なのかなと感じた」。同市の40代の保護者は子どもが通う中学校が、1業者だけのかばんを指定していると聞き、疑問を抱いた。

 指摘のあった同市の中学校を取材すると、校長は「2業者を指定する予定だったが、調整がうまくいかなかった」と話した。

 この中学校は昨年11月、市教委の指針に合わせ、生徒や保護者の代表を交えた指定物品の検討委員会を開催。通学かばんでは、既存業者とは別に、参入希望の1業者のサンプル品も提示したが、「個数がそろわない可能性がある」などの理由で新規参入業者の指定を見送ったという。

 校長は「新年度は、早い時期に参入希望の業者とも協議し、生徒や保護者が選べるようにしたい」とした。

 熊日の取材では、同市立中42校中、少なくとも11校が通学かばんを1業者に指定。うち、検討委の議論を踏まえて、別の業者に変更した1校を除き、すべて既存の業者を継続して指定していた。理由として「『今のままがいい』という生徒らの意見を尊重した」「新規参入の申し出がなかった」などのほか、「既存の業者に頼まれた」とした学校もあった。

 複数の学校から単独で指定を受けている業者は「学校の要求に丁寧に応えるなど、営業努力で販路を広げてきた」と強調。ただ、指針改正を受けて「選んでもらえるような質の高い商品を提供するだけだ」と話した。

 一方、市教委の指針に基づき、かばんの指定を2業者に増やした学校も複数あった。参入しやすいようにデザインが多少違うかばんや、校章・校名なしを認めるなどして対応したという。結果、一部の学校では参入業者の商品価格が、既存品を下回ったケースもあった。

 市教委は、各小中学校の検討委での協議内容の報告を義務付けているが、物品の指定状況の報告は求めていない。同教委は「公的機関が指定する以上は、公会計に準じた対応が求められる。指定状況を把握できる仕組みを検討し、校長会などで指針の徹底を求めていく」としている。(原大祐)