台湾・味全で奮闘する田澤純一 ただ1人の外国人守護神としてリーグトップ4セーブ

味全ドラゴンズに入団した田澤純一【写真提供:CPBL】

ここまで8試合に登板して4セーブ、防御率2.16をマークしている田澤

日本プロ野球より一足早く開幕した台湾プロ野球の主要トピックから、今季、味全ドラゴンズに入団した田澤純一投手のここまでの登板内容についても紹介。田澤は3月17日、開幕2戦目の中信兄弟戦、4-0とリードした9回に台湾プロ野球初登板を果たすと、2アウトから内野ゴロをさばいたショートが悪送球、二塁にランナーを進められたものの、後続を中飛に打ち取り、チーム1軍復帰後初勝利となる試合を締めた。

3試合目の登板となった3月23日の楽天戦では、7-4とセーブシチュエーションで登板、先頭の郭文嚴に二塁打を打たれたものの、林承飛を146キロの外角直球、藍寅倫を134キロのスプリットでいずれも空振り三振に切って取った後、梁家榮を左飛に打ち取り、初セーブをマークした。

田澤は26日の富邦戦でも3-0の場面で登板、内野ゴロ3つに打ち取り、危なげなく2つ目のセーブを記録した。28日の富邦戦もビハインドの展開ながら1回2/3を無安打無失点、30日の楽天戦も3者凡退で3セーブ目をマーク、開幕6試合連続無失点と上々のスタートを切った。

開幕から好調さを維持していることについて田澤は「春季キャンプから日が浅く、一部の打者はまだ試合のリズムに乗り切れていないかもしれない」と分析し、今後、自身の球種が研究がされていくなか、他の球種を加えたり、より良いストレートを投げていく必要があると、捕手とコミュニケーションをとっていく考えだ。

葉君璋監督「球速も出ており、状態は悪くなかった」

しかし、31日の楽天戦では一転して苦しい投球となった。田澤は2-1と1点リードの9回に登板、スプリットの制球が今ひとつであった中、先頭、元ソフトバンクの陽耀勲に右前打を打たれ、2死三塁のピンチを招くと、林泓育にカーブを叩かれ、サード強襲の同点打(記録は左前打)でセーブ失敗、さらに不運なヒット、敬遠で満塁とされると、147キロの直球を林承飛に左中間に運ばれサヨナラ負け、初黒星を喫した。田澤は自身を責めたが、葉君璋監督は「制球がいい分、狙い撃ちされやすいという点はあるが、球速も出ており、状態は悪くなかった。(同点打も)サードは捕れたかもしれない」とかばった。田澤の現時点(4月6日時点)の成績は、8試合登板、8回1/3を投げ、0勝1敗4セーブ、防御率2.16となっている。

台湾プロ野球の外国人枠は3人だが、今季から1軍参入した味全は特例として1人多い4人となっている。ただ、4人共に投手ないし野手とすることは認められていない。現状、味全は投手3人、野手1人となっている。4月上旬にも昨年、KBOの起亜で11勝をあげた先発型右腕ドリュー・ギャグノンの1軍昇格を予定しており、現行3人いる外国人投手のうち1人が2軍降格となる。ただ、中継ぎで規定投球回数以上投げているウッドールが降格となる見込みで、当面、田澤の守護神の座は安泰といえそうだ。

初黒星の際は田澤をかばった葉監督だが、田澤の「無双」ぶりについて問われた際には、奇しくも田澤と同じく「打者もまだ慣れていない」と述べており今後、打者が研究してくるなかで、安定したパフォーマンスを発揮していく必要はあるとしていた。

また、現在リーグで外国人クローザーを起用しているのは味全のみだ。味全は今季1軍参入初年度で、成績だけを追い求めてはいないとはいえ、イニングイーターとして計算できる先発投手が少ないチームにおいて、田澤は外国人守護神として存在感をみせていかなければならない。

日本選手が海外でプレーする際、しばしばリーグのレベルの違いが話題となるが、こうした外国人枠争いのプレッシャー、5球団ならではの同じ打者との対戦回数の多さ、高温多湿の気候など、台湾特有の過酷さもあり、元メジャーリーガーだから活躍して当然というほど楽なリーグではない。ただ、田澤には、これらを乗り越え、シーズンを通じて、味全の守護神として活躍する姿をみせてもらいたい。(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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