上越教育大の林泰成新学長 就任会見 「人間力の育成」掲げる 知識伝達から能力開発へ 学校教育の変化 背景

 上越教育大(上越市山屋敷町)は6日、林泰成新学長(61)の就任会見を行った。林学長は本年度以降の大学の方針などを語った。

 林氏は福井県出身で、専門分野は道徳教育論、教育哲学。平成8年に助教授として上越教育大に着任し、同19年に教授に就任。同大附属小校長、副学長、国際交流推進センター長などを歴任し、4月1日から学長に就任した。任期は令和7年3月31日までの4年間。昨年11月の学長選考会議で前学長の川崎直哉氏の再任を一度は決定していたが、12月に川崎氏が体調を理由に辞退。川崎氏と共に学長候補者となっていた林氏が新学長にあらためて選ばれた。

 林学長は同大の教育の中心として「人間力の育成」を掲げた。学校教育が知識伝達から能力開発へと変化しているとし、「(必要とされる)能力は人格や人間性と強く結び付いていると捉えられ始めている」と語った。

大学の方針などを語る林新学長

◇大学院の組織改革予定 地域連携や地域活性化

 令和4年度に大学院の組織改革を予定していることを表明した。改革は平成31(令和元)年度に続いての実施で、修士課程を心理臨床研究コースを除いて、専門職学位課程(教職大学院)に移行する。少子化に伴う教員の減少や、近年注目を集める過酷な労働環境を背景に挙げ、「より実践的な力を育てる専門職学位課程をさらに増やす」と話した。4月中に手続書類を文部科学省に提出する予定となっている。

 地域連携や大学による地域活性化についても言及。コロナ禍によるテレワークの普及で、地方への移住が進むとし、「安心して子どもを任せられる教育環境の整備をすることで、大学として県や市に貢献できるのではないか」と語った。

本年度の上越教育大役員。左から3番目が林新学長

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