アメリカに転職予定の40代女性、海外生活で老後にどう備える?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、46歳、会社員の女性。アメリカに転職予定だという相談者。将来は日本に戻る予定だそうですが、戻った後の老後の備えが心配だそうです。海外生活を送る際、老後の備えのために注意するポイントは? FPの飯田道子氏がお答えします。

老後の備えは足りているんだろうか?

昨年会社を退職、アメリカの会社に転職予定でしたがコロナで転職できず。現在は実家で、転職予定の会社から下請け的に仕事をもらっている。ビザが取れ次第赴任予定だが、まだ未定。雇用も不安定。日本にいる間にiDeCoを最大限に活用したいと考えている。実家のため家賃はなし。代わりに家事全般を請け負う。医療保険をやめるべきか。今後は家のリフォームや日本との往復費用などが発生予定。将来的には日本に戻る予定。

【相談者プロフィール】

・女性、46歳、自営業、独身

・同居家族について:父年金生活、母は入院中年間100万必要だが、母の年金と貯蓄で賄えている。

・住居の形態:親の家で同居

・毎月の世帯の手取り金額:30万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:なし

・毎月の世帯の支出の目安:22万円

【毎月の支出の目安】

・住居費:なし

・食費:3万円

・保険料:年金保険6万3,000円、医療保険3,000円、年金基金1万6,000円

・通信費:1万円

・車両費:5,000円(カーシェア)

・お小遣い:1万円

・その他:被服、日用雑貨、病院など3 万円

・iDeCo:5万2,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:8万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:60万円

・現在の貯蓄総額:3,800万円(普通預金定期預金)

・現在の投資総額:100万円、iDeCo300万円

・現在の負債総額:0


飯田:今回の相談者様は、老後の備えは足りているのか心配しているご様子です。昨年会社を退職し、アメリカの会社に転職予定とのことですが、現在は実家で暮らしながら、転職予定の会社の下請けのような形でお仕事をされているようです。将来は日本に戻る予定であるものの、現地での雇用が不安定なため、医療保険や帰省のコストなどもいろいろと気にかけているご様子。相談者様の場合、老後資金について、どのように捉えていくべきなのでしょうか?

海外生活は行きやすく帰りやすいことが王道

アメリカで生活するのは、あくまでも仕事のためという相談者様。

とはいえ、どのような形であったとしても、海外で暮らすためには、行きやすく帰りやすい状態を保つことが必要になります。相談者様のケースでは、日本に戻ってくることが前提であり、実家もあります。まさに行きやすく帰りやすい状態がキープできていますので、多少なりとも精神的な負担は軽減できるのではないかと思います。

今が貯めどき

現状では実家で生活されていることもあり、支出の多くが保険料や投資に回っています。コロナの影響もあり、アメリカでの生活がスタートするタイミングは掴みにくいと思いますが、日本にいる間にできるだけ多く貯蓄に回しておくことをお勧めします。

将来的に、自宅のリフォームを考えていらっしゃるとのことですが、相談者様が負担するのか、ご両親が負担するのかは話し合われていらっしゃるでしょうか?

リフォームする内容にもよりますが、バリアフリーにする場合には介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度によって、一定の要件があるものの、かかった費用の9割、最高18万円までの支給を受けることが可能です。ご両親が元気なうちにリフォームしても良いかもしれませんね。将来、自分が費用を捻出するのであれば、あらかじめ費用を確保しておき、今の貯蓄とは別に管理しておくと良いでしょう。

また、相続財産の割合や相続人の人数にもよりますが、財産に現金が多い場合には、不動産などが多いときに比べて税額が多くかかってしまうことがあります。これらも踏まえて、誰がリフォーム費用を負担するのかを考えてください。

医療保険はどうするべきか?

ご存知のように日本とアメリカでは、医療保険制度に大きく違いがあります。アメリカにも公的医療制度のメディケア(Medicare)とメディケイド(Medicaid)の2つがありますが、相談者様の場合、いずれも対象ではありません。必然と、現地で新たな医療保険に加入することになると思います。その際には、住所地の制度も確認しておきましょう。

アメリカに限らず海外の医療保険には、世界中どこで治療を受けても、治療費をカバーするタイプの医療保険があります。そのようなタイプの保険に加入すれば、帰国後も利用することが可能になります。日本の医療保険は、世界中を対象とするタイプの医療保険に加入できたら、解約しても良いですね。

ただし、アメリカの医療保険も年齢が高くなると保険料は高くなります。帰国後の生活を踏まえて日本の医療保険を生かしておく場合、保険料の支払いも継続することになります。日本で加入したタイミングとアメリカでの保険料などを総合的に踏まえて、日本ではどちらの保険を使うのかを選択するようにしましょう。

老後資金は足りている?

現在の貯蓄総額は普通預金と定期預金で3,800万円。投資総額は100万円とiDeCo300万円。年金保険には6万3,000円、年金基金にも1万6,000円加入されています。

リフォーム費用や帰省回数、アメリカでの滞在期間にもよりますが、将来は公的年金に加えて年金保険があります。リフォーム費用を負担するのか、帰省費用は毎年いくらになるのかを算出し、現状で3,000万円を下回らないようなら、ゆとりある生活は送れると考えられます。そのためにはアメリカでどのように生活するのか、コストはどれくらいかかるのかも確認しておくことが大切です。

しかしながら、ライフスタイルは変化することがありますし、必要となる費用などにも変化が生じることがあります。変更が生じたときは早めに見直しをし、将来の生活に不安を持ちこさないよう、対策を講じておくことが必要です。

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