県立足柄上病院、産科業務を廃止へ 小田原市立病院に集約

分娩の受け入れを停止する県立足柄上病院=松田町松田惣領

 新型コロナウイルスの影響で産科の休診が続いている神奈川県立足柄上病院(松田町松田惣領)について、県は7日までに分娩(ぶんべん)の受け入れを停止し、産科業務を廃止する方針を決めた。県と小田原市などは足柄上病院と同市立病院の「連携・協力の方向性」を取りまとめ、足柄上病院が担う地域の周産期医療機能を同市立病院に集約する。常勤医の不在が続き、分娩件数も減少傾向だったが、地元自治体では早期の再開を求める声も上がる。

 県と同市、県立病院機構は、県西地域2市8町の高齢化による地域医療需要の変化を背景に、昨年10月に2病院の連携・協力を強化する協定を締結。協定に基づき3者は今月、足柄上病院の分娩廃止を盛り込んだ「連携・協力の方向性」について合意した。

 足柄上病院ではこれまでも産科医が確保できず2006年、一時的に分娩の受け入れを休止。その後に再開されたが、17年度からは医師による分娩を停止し、助産師のみ立ち会う「院内助産」に切り替えた。

 県によると、05年以前は年間500件以上あった分娩件数は院内助産に切り替わってからは100件以下に低迷し、18年は53件。昨年4月からは新型コロナウイルスの患者受け入れを理由に院内助産も中止していた。

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