【新型コロナ】神奈川県内ワクチン接種、一般高齢者は5月以降 7市町村、最短で初旬予定

コロナワクチンのバイアル

 新型コロナウイルスの高齢者向けワクチン接種を巡り、神奈川県内市町村では4月中は施設入所者らの接種を優先させることが神奈川新聞社の取材で分かった。クラスター(感染者集団)発生の恐れや重症化リスクなどを考慮した。施設に入所したり、医療機関に入院したりしていない一般の高齢者を対象にした接種が始まるのは5月以降。7市町村は早ければ5月初旬の接種開始を予定する。

 7日時点の県内33市町村の接種開始予定を取材した。県によると、65歳以上の高齢者は県内で約231万人。使われるのは米ファイザー製のワクチンで、3週間の間隔を空けて1人2回接種する。

 県内へのワクチンの配送は今週から始まり、県は高齢者施設の定員数を基に市町村への配分量を決定。最初に到着する4箱(約2千人分)は横浜、川崎、相模原の3市に届けられ、12日の週から接種がスタートする。ただ、4月中に接種を始める予定があって具体的な日程を示している自治体では、高齢者施設の入所者や入院中の高齢者らを優先させる方針だ。

 現時点で、一般の高齢者を対象にした接種開始が最も早いのは清川村。4月26日の週に到着予定のワクチン1箱(約500人分)を使い、75歳以上を対象に5月3日から始める。

 川崎、逗子、葉山、箱根、真鶴、湯河原の6市町も早ければ10日までの5月初旬の開始を見込む。このほか、多くの自治体は5月から開始する方針を示しているが、横須賀、大和、座間、伊勢原、茅ケ崎の5市は開始時期を「未定」と回答。「ワクチンの供給量が定まらないため」(横須賀市)などを理由に挙げた。

 一般の高齢者を対象にした接種方法は、体育館などでの集団接種と診療所や病院での個別接種に大別されており、集団は33市町村全てで実施を予定。接種予約者のキャンセルが出ても影響を受けにくいなど、効率的な接種が期待できるメリットがある。個別はかかりつけ医のいる診療所などで打つため、接種を受ける側にとって身近で安心感があるとされる。現時点で真鶴と湯河原の2町は実施予定はないといい、「集団接種が最優先で手が回っていない」(真鶴町)という。

 国からワクチンの詳細な供給スケジュールが示されないことで、現時点では具体的な日程を決められない自治体も多かった。また、先行して始まっている医療従事者の接種のペースが遅く、「医療従事者が遅れると一般の接種も当然遅れる」(福田紀彦川崎市長)など、高齢者の接種計画への影響を懸念する声も上がっている。今後の状況次第では、予定の見直しを余儀なくされる自治体もありそうだ。

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