拉致問題解決、遅れに懸念 北朝鮮の東京五輪不参加で県内被害者家族

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 北朝鮮が東京五輪不参加を決定したことを受け、熊本県内の拉致被害者家族からは7日、五輪が外交カードに使われ、問題解決が遠のくことを懸念する声が聞かれた。北朝鮮出身者は、日本側の態度硬化をけん制した。

 北朝鮮の五輪参加は拉致問題進展の好機とされていただけに、熊本市出身の拉致被害者、松木薫さん=失踪当時(26)=の姉、齊藤文代さん(75)=菊陽町=は「両国は五輪を外交の駆け引きにせず、拉致は拉致として問題の進展を目指すべきだ」と強調した。増元るみ子さん=失踪当時(24)=の姉、平野フミ子さん(71)=八代市=も「日本政府はあくまで人命や人権の問題として交渉を続けてほしい」と呼び掛けた。

 不参加理由は、新型コロナウイルス感染症からの選手保護。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)県本部委員長の金末幸[キムマルヘン]さん(72)=熊本市中央区=は「祖国の選手が日本で活躍するのは楽しみだったが、安全対策としての国の判断だと思う」と理解を示した。

 北朝鮮は3月25日、日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。ただ、金さんは「コロナ対策には近隣諸国の連携が不可欠。過剰に経済制裁などを叫ぶ時期ではない」と擁護した。(堀江利雅)