焼酎廃液からエタノール製造 高松の企業、日南に工場開設

焼酎廃液から燃料用エタノールなどを製造する「焼酎バイオエナジー宮崎日南工場」の内部=7日午前、日南市北郷町

 マンション管理業のあなぶきハウジングサービス(高松市、新宮章弘社長)は7日、日南市北郷町に「焼酎バイオエナジー宮崎日南工場」を開設した。焼酎廃液(焼酎かす)から燃料用エタノールやペレットを製造。同社は焼酎廃液処理の問題を解決するため宮崎大と燃料用エタノール精製について共同研究しており、今回、初の実用化となった。今月中は試験運転を行い、5月1日から本格稼働する予定。

 本県は出荷量が6年連続日本一となるなど焼酎造りが盛んだが、製造工程で発生する廃液の処理が課題となっていた。大手メーカーでは自社工場内に焼酎かすの処理設備を導入し、飼料・肥料化しているところもある。しかし、産業廃棄物として業者に処理を依頼する場合、1トン当たり約1万円の費用が必要で、中小のメーカーでは収益圧迫の一因となっていた。

 同社と同大学の共同研究は2013年ごろに開始。塩盛弘一郎教授(分離工学)らが実証ミニプラントを大学内に設置するなどして実験を進めてきた。

 完成した同日南工場は敷地面積約2060平方メートル、建築面積約380平方メートル。日南、都城市の焼酎製造会社から引き取った焼酎廃液と、食品加工会社から調達した芋くずを原料にエタノール燃料を製造。蒸留の過程で発生した残さはペレット燃料(固形バイオ燃料)にする。1日の製造量はエタノール燃料1・2トン、ペレット燃料2トンを見込む。

 エタノール燃料は同工場内の蒸留器や混合乾燥機の熱源として使用し、ペレット燃料は火力発電などを行う企業に売却する予定。二酸化炭素(CO2)排出を抑えるカーボンニュートラルな燃料としても期待される。

 同日は工場で落成式があり、同社や宮崎大関係者、日南市の行政、経済関係者らが出席。宮崎大の池ノ上克(つよむ)学長が「大学の研究室から地域に発信できたのは画期的なこと。この取り組みはSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも当てはまる」とあいさつした。

 同社の新宮社長は「いろんな中小のメーカーに利用していただき、地域に貢献したい。将来的には増設も見据えていきたい」と話した。

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