コロナ禍で予定される五輪最終予選 開催地・台湾が計画する徹底した防疫計画

東京五輪の世界最終予選が開催される台中インターコンチネンタル球場【写真:Getty Images】

東京五輪最後の出場枠を争う最終予選は6月16日から台湾・台中市で開催予定

6月16日から20日にかけて、台湾の台中インターコンチネンタル球場(台中市)及び斗六球場(雲林県)では、台湾代表はじめ6チームが五輪出場枠残り1枠をかけて争う東京五輪の世界最終予選が開催される。

3月上旬のプロ・アマ会議で、世界最終予選に向けたナショナルチームの選手選考及び合宿、そして大会への出場、大会の運営などについて、プロ側のCPBL(中華職業棒球大連盟)が全面的に請け負うことが決定した。

CPBLにとっては、五輪出場権の獲得を目指したプロ・アマ団結による「最強の代表チーム」の結成と共に、コロナ禍における世界最終予選のスムーズな運営も、重要なミッションとなる。

CPBLとCTBA(中華民國棒球協會)は3月18日、世界最終予選に向けた初の定例会議を開催、それぞれの防疫計画案を提出した。両者の防疫計画の最大の違いは、海外チームの台湾入境後の隔離日数で、CTBA案が「搭乗前3日以内に受検した陰性証明及び来台後7日間の隔離」であったのに対し、CPBL案は「14日間の隔離」を求める、というものであった。

CPBLの蔡其昌コミッショナーは「14日間の隔離」という案を提出したことについて、昨年8月に来台したチェコの上院議員らの大規模な訪問団を比較例として挙げ、この時は「バブルシステム」を採用し、併せて全員、全行程マスクの着用を求めたと説明。ただ、野球ではそれを求めることはできない上、出場チームの選手・コーチにWBSCの技術委員を加えると、総人数はチェコ訪問団の5倍以上に上ると説明した。

CPBLとCTBAが開催に向けた防疫計画案を立案している

なお、CPBL案では海外チームは台湾入境後、まず隔離用の防疫ホテルで14日間を過ごしてから、一般のホテルに移るという。また、仮に来台した選手の陽性が確認された場合の大会の開催については、中央感染症指揮センターの専門的な判断に従うとしている。

CPBLとCTBAはいずれも一部のチームから希望が出ていた大会前の壮行試合について、隔離に伴うスケジュール面を考慮した場合、開催は困難として、見送る事で一致。両者の防疫計画案は、いずれも中央感染症指揮センターに送られ、同センターによって最終的な防疫対策が決定することになる。

世界最終予選には、6月初旬に開催が予定されているアメリカ大陸予選の2位、3位チームが出場する。仮に「14日間の隔離」で最終決定した場合、アメリカ大陸予選の閉幕から世界最終予選の開幕まで、14日間の間隔期間が取れない可能性がある。

コロナ禍において、国際大会の開催には高いハードルがある。台湾球界が打ち出した慎重な防疫対策については、参加チームの反発を呼ぶ可能性もあるが、逆に言えば台湾はその慎重さによって、これまで新型コロナウイルスの封じ込めに成功してきたともいえる。WBSC及び参加チームが、中央感染症指揮センターの防疫計画に合意し、世界最終予選が滞りなく開催されることを期待したい。(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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