函館の中学校、コロナ禍で行われた卒業式と歌の今

海と山に囲まれた坂の町、函館。街中には市電が走り、和洋折衷の建物が混在。映画やドラマの舞台にも使われることが多い絵になる街です。

函館には21校もの市立中学があり、それぞれの学校で個性豊かな教育に取り組んでいます。また最近ではGIGAスクール構想に基づき、一人一台のタブレット端末導入に向けた環境整備も進み、毎日ブログで日々の学校生活を綴ったり、ZOOMで生徒総会を行ったりと、新しい試みにどんどんチャレンジしている意欲的な学校が多いです。

そんな函館の中学校、例年卒業式は雪解けがはじまる3月15日前後に行われています。

式といえば卒業生による合唱が定番ですが、今年はコロナ禍という現状もあり、「卒業式の歌は歌わなかった」、「在校生は参加せず、卒業生のみで行った」、「マスクのまま歌った」など、調べてみると例年通りとは違った卒業式の“今”がありました。

冷たい浜風にあたりながら迎えたハレの日。感動は歌と共にある。ということで、現在の函館の卒業式ではどんな合唱曲が歌われているのか、市内の公立中学校21校に聞いてみました!

旅立ちの日に

1位は卒業式の王道、『旅立ちの日に』です。
1991年に秩父市立影森中学校の校長先生と音楽教諭が共同で作りあげた一曲。

最初はこの中学校だけで歌われていましたが、次第と広まり2010年頃にはそれまで小中高校の卒業式で定番のように歌われていた『仰げば尊し』や『巣立ちの歌』、『贈る言葉』などを抜き、全国で最も広く歌われる卒業式の歌となりました。「毎年卒業式はこの歌を歌っています」という学校もあり、曲が生まれてから30年経つ今も根強い人気があります。 サビで追いかけていくメゾ、アルトのパートが歌っていて楽しいのも、人気の秘訣かもしれません。

群青

2位は『群青』。東日本大震災をきっかけに、福島県南相馬市立小高中学校の卒業生と、音楽教諭で作った合唱曲です。

当時いわゆる「復興支援ソング」が数々誕生する中、被災者側からの「メッセージソング」として生まれ歌い継がれている一曲です。東日本大震災から10年経った区切りの年。「今だからこそ歌おう」と選曲されている学校も見受けられました。

遥か/正解/道/手紙~拝啓 十五の君へ~/友〜旅立ちの時〜/時を超えて/夜明け

3位は同率で上記の曲が歌われていました。アーティストの曲も多く、生徒さんの投票で決めている学校もありました。選ばれる曲と共に変化していく時代を感じます。

函館の中学校での卒業式ソング上位2曲はどちらも学校から生まれた合唱曲でした。学び舎での思い出を振り返る時に大きな存在となる歌。早くみんなで気兼ねなく歌える日を願っています!

ライタープロフィール

ドキュメンタリー写真家
佑木 瞬

10歳から写真を撮り始め函館、遺愛女子高等学校で写真部に入部。寮生活を撮り続け、卒業式の写真がベネッセチャレンジチャレンジ写真部門で最優秀賞となる。2004年にデビュー作『女子寮の中』出版。2017年には函館で5箇所同時開催の写真展を行う。写真家平間至のアシスタントを経て北海道と東京の2拠点での活動をし、写真を通じて人を繋ぐ街づくりをライフワークとする。2019年よりFMいるか『金曜いるかスクランブル』準レギュラー。

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