男性の育休取得1割以下 熊本県内企業、促進へ研修や支援制度

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昨年8月に育休をとった肥後銀行の村本貴彦さんと長女・依千歌ちゃん=熊本市中央区

 政府は今国会に男性版産休の新設を盛り込んだ「育児・介護休業法改正案」などを提出した。男性の育児休業取得促進を目指しているが、男性の取得率は全国、熊本県内ともに1割以下と現状は厳しい。従業員らの育児休業取得に力を入れる県内企業の取り組みから、夫婦で育休を取りやすくするために必要なポイントを探った。

 県の男女共同参画年次報告書(2020年度版)によると、県内男性の取得率は近年、全国平均より低い状態で推移しており、19年度は4・9%。女性が95%超とほぼ定着しているのに対し、大きな開きがある。取得率が伸びない原因の一つとして、県は「男性は仕事、女性は家事・育児」という固定的な性別役割意識が依然として企業などにあるから、と分析する。

 肥後銀行(熊本市中央区)は全管理職を対象に研修を行い、徹底した性別役割意識の払拭[ふっしょく]に努めている。管理職の意識を変えることで、「男性が育休を取るのは当たり前」という雰囲気を醸成した。その結果、15~19年度、子どもが産まれた男性計260人全てが育休を取得したという。

 人事部の村本貴彦さん(30)=同区=も昨年8月、長女が2カ月だった時に5日間の育休を取得。「子どもとずっと一緒の時間を過ごしたからこそ、ちょっとした成長にも気付けるようになった」と喜ぶ。

 同行はさらに独自の取り組みで後押し。育児休業を取得すると自動的に20営業日までは有給扱いとし、収入が減る不安を軽減した。人事部女性活躍推進室の緒方亜希さん(37)は「経験した行員は、時間配分がうまくなるなど仕事にも良い影響がある。管理職になった時、経験に基づいて部下への気遣いができるだろう」とメリットについて語る。

 新産住拓(熊本市南区)も19年、男性社員に育休を目的とした特別休暇を3日間与えることを決定。これまで対象者の5人全員が利用した。

 取得できた理由として、「社長から強く勧められ、休みやすかった」と、昨年10月に四男が誕生した山元雄一郎さん(46)。半日ずつなど分割して取得もできるため、母子の退院時など家族の状況に合わせられたという。

 県は、25年度までに男性の育休取得率を13%に引き上げる考えだが、制度による後押しに加え、企業経営者や管理職の意識改革やトップダウンでの取り組みが鍵になりそうだ。熊本大の八幡彩子教授(家政学)は「コロナ禍で忙しさが増す企業もあるだろうが、働きやすさは人材確保のアピールポイントになる。管理職の一部ではなく、全員がワークライフバランスの実現目標を考え、意識を変える機会を持つことが大切だ」と話している。(清島理紗)

 ◇育児休業制度 民間の事業所は原則子どもが1歳になるまで、夫婦ともに休業する場合は最大1歳2カ月まで取得できる。期間中は無給だが、180日間は給与の67%、以降は50%の給付金が雇用保険から支払われる。改正法案では男性版産休を新設するほか、子どもが生まれる従業員への育休取得の働き掛けを企業に義務付け。育休は、夫婦各2回まで分割取得可能とする。