イマシリ!『食用油値上げの波 食品業界を直撃… 給食にも!?』

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今、知っておきたい情報をわかりやすくお伝えする「イマシリ!」。きょうのキーワードは、『食用油値上げの波 食品業界を直撃… 給食にも!?』。

食品油メーカー大手3社「J-オイルミルズ」「日清オイリオグループ」「昭和産業」の価格改定をまとめたものです。どれくらい上がったのかといいますと、3月から4月にかけて家庭用の油が1キロあたり20円〜30円。もともとが300円前後とすると、値上げ率としては、ざくっと言えば10%ほどになります。

理由としては、原料となる「大豆」や「菜種」などが急激に高騰したことを挙げています。しかも、この原料の価格上昇が止まらないため、油の値上げもこれだけでは終わらず、3社とも6月以降に再度、値上げすると発表しています。

食用油の高騰について取材してきました。

「油によって変わってくるから、どんなになるんですかね。わからない。」

「どうすることもできんです。わたしらは。」

「上がるんならしょうがないというのはありますけど。天ぷらも1人暮らしだから、天ぷらもすることないしね、あんまり。だから上がってもそんなに感じないです。」(街の人たち)

街頭では、食用油の値上げについて驚きの声はほとんど聞かれませんでしたが、油を多く扱う製造業社にとっては死活問題です。

「広島がんす」専門の老舗かまぼこ店「坂井屋」です。草津港に水揚げされた魚をさばき、すり身を成形する過程を今も守り続けています。

コロナ禍でお土産用の商品が売れないなど、売り上げは前年のおよそ半分になったそうです。今度は食用油の高騰の波が襲いかかってきました。

「半分にとどまっていればいいかねというレベルです。油がこれだけ上がると、私ども1日1缶から2缶くらい継ぎ足し、そして、2週間に1度、総入れ替えを8缶くらい変えるんですね。繰り返すので上がるいうことは、だいぶコストも上がる。利益は出にくいというような感じですね。」(坂井屋 高崎明彦社長)

もみじ型の「もみじ天」や「がんす」など、揚げかまぼこは菜種油で揚げていきます。

「結局、コロナの影響でいろんなものが負荷がかかってきて、魚もそう、漁に出れない。要は、漁に出るんだけど、燃料が高いから魚(の価格)が上がってくる、そしたら、わたしどもかまぼこやは魚が原料なので、当然、原料が上がってくるとか、そういったもの全部がしわ寄せなので。どこかで上げないといけないときが来ると思いますけど、(今は)耐えるしかないかなと。」(坂井屋 高崎明彦社長)

かまぼこづくりは手作業なので、薄利多売はできないということです。値段はすえ置き、新商品の開発でカバーしていきたいと。

一方、この食用油の値上げの原因となったのは、大豆の高騰…。ということで、その大豆で作られる「豆腐」も影響を受けています。

「たいへんです。」

― どのくらい?
「6月に(食用油は)最終的に6月に上がるというふうに業者さんから聞いている。だいたい、3000円くらいするものが最終的に1缶で1000円以上、上がる計算になりますね。」(常川食品 常川利行代社長)

安佐南区にある豆腐製造業の常川食品では、価格維持のため、値上げ前に、油を60缶ほど購入したそうです。

「60あったら、おそらく3~4か月は十分あると思います。もう1回、もう1回、20缶ほど6月までに買う予定にしているんです。」(常川食品 常川利行代社長)

おいしい豆腐をつくるため、大豆の品質にはこだわっています。安定的な確保も大事な仕事。倉庫には国内外の大豆が保管されていました。

「これが、カナダで学校給食であるとか、あるいはスーパーさん向けの豆腐を作る豆です。」(常川食品 常川利行代社長)

豆腐製造業4社が加盟する広島市豆腐類協同組合の代表理事でもある常川社長。大豆などの高騰を受け、学校給食に提供する豆腐製品の値上げをこの春、交渉したといいます。

「大打撃ですね。油だけじゃなしに大豆も値上がりするじゃないですか。先般、学校給食の入札がありまして、ぼくが代表で入札に行ってきたんですけど、気持ちほど、上げさせていただきました。給食会の方も、それを全面的にのんでいただいて。状況が状況で、今、コロナの関係で財政がすごくひっ迫してるのは、ぼくらもわかっていますし、そういった中で値上げしていただくのは非常に心苦しい部分はあるんですけど、背に腹は代えられん部分がどうしても。」(広島市豆腐類協同組合 常川利行代表理事)

なぜ、食用油が上がったのか。大豆や菜種など原材料の価格を押し上げている理由を専門家に聞きました。

「たとえば、大豆はブラジルとか、アルゼンチンが主な産地になるが、その産地がラニーニャ現象とかの天候不順によって、収穫量が非常に落ちているということが1つあります。その一方で、世界最大の消費国の中国をはじめとする世界の油脂需要に対する需要が非常に旺盛なものがある。いうことで需給が非常に引き締まっているという状況にあります。」(ひろぎん経済研究所 河野晋常務理事)

原料の値上げの原因は、▽天候不順、▽中国の消費拡大のほかに、▽円安もあるということです。また、給食については、材料が一時的に値上がりしても、同じ栄養価のものを同じ価格で作れるようにメニューを工夫して対応するということです。