<レスリング>女子オリンピック代表内定5選手がアジア選手権へ向けて決意表明

 

東京・味の素トレーニングセンターで出発前の最後の練習に励む女子チーム=チーム提供

 4月13日(火)からカザフスタン・アルマトイで始まるアジア選手権に出場する女子チームは、東京・味の素トレーニングセンターで直前合宿を実施。齊藤将士コーチ(警視庁)とオリンピック代表内定5選手が8日、オンラインで報道陣に対応した。

 齊藤コーチは「集中力のあるいい練習ができている。久しぶりの国際大会ということで、緊張感もある」と、各選手の仕上がり具合に満足そう。コロナ禍による1年延期の期間中も常に外国選手対策を想定した練習を積んでおり、「実戦で使えるか確認してほしい。勝つことは当然だが、その中で修正点をあぶりだし、本番で金メダルを取るための準備する大会にしてほしい」と望んだ。

 53kg級や57kg級で強敵となるはずの北朝鮮がオリンピックへの不参加を表明したことについては、まだ確定ではないとし、「出ようが、出まいが、自分たちのやるべきことをやるだけ」と話した。

 アジア予選で現地入りしているコーチから、練習会場や移動、気候などの情報は伝わっており、コロナ禍による“戒厳下”での遠征に対しても、「不安はありません」と言う。

昨年に続いてアジア選手権に出場する川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)

 オリンピック2連覇を目指す57kg級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は「大きなけがもなく、いい調整ができています。去年のアジア選手権で見つかった課題をやってきましたし、課題は毎日出てきて、いつもそれに取り組んでいます。いいときの感覚を忘れないようにしてきました」と話す。

 約1年2ヶ月ぶりの実戦に臨むことに対して、「ワクワクと緊張のどちらが強いですか?」という問いに、「普通です。いつも通りです」と苦笑い。

 2016年リオデジャネイロ・オリンピック53kg級優勝のヘレン・マル―リス(米国)がこの階級の米国代表を決め、東京ではオリンピック2連覇を目指す選手が鉢合わせすることになった。これまで闘ったことはないが、リオデジャネイロで吉田沙保里選手を破った印象は残っていて、「いずれ闘うと思っていた。(対戦することになったら)自分のレスリングを出し切って勝ちたい」と言う。

 ただ、この階級は強くて個性的な選手が多く、マルーリスだけをマークするつもりはない。「特にこの選手、という選手はいない」とも言う。まずはアジアでしっかり勝つことが目標。オリンピックを目指す期間が1年増えたことで「レスリングの幅が広がり、奥深くなっていると思う」と話し、実力を試すことを口にした。


明るい表情で減量に取り組む向田真優(ジェイテクト)

 ■53kg級・向田真優(ジェイテクト)「減量はうまくいっています。試合自体は久しぶりですが、フィジカル面だけでなく、技術面でも外国人対策をしてきて、いろんな面で強化ができていると思います。今までやってきた成果を出して優勝することが目標です。(2019年世界選手権決勝で負けた北朝鮮の不参加表明について)最後まで出ないかどうか分からないと思います。闘う気持ちで準備します」

 ■62kg級・川井友香子(ジャパンビバレッジ)「前回のアジア選手権に比べて体重も増え、技術面もコーチにずっと見てもらい、自分でもレベルアップしたと思っています。体重は、以前は(リミットに)足りなかったのですが、しっかりとウェートアップしてきました。3kgは増えていて、(体力測定の数字)も上がっています。組み手の練習を多くやってきたので、結果にこだわりますが、やってきたことを出したい。オリンピックにつながる試合にしたい」

 ■68kg級・土性沙羅(東新住建)「久しぶりの国際大会。筋トレなどしっかりやってきたので、それを出すだけです。積極的に攻めるレスリングを取り戻したい。海外の選手は簡単には取らせてくれないので、がむしゃらに攻めるのではなく、相手が攻めてきたときにカウンターでも攻めたい。(故障していた)肩とひざはもう大丈夫です。勝ちにこだわりますが、今までやってきたことを出してオリンピックにつなげたい」

 ■76kg級・皆川博恵(クリナップ)「大会開催が正式に決まって、試合という目標が定まってからメンタル面が盛り上がり、それに応じてフィジカル面も上向きになって、いい感じで調整できています。(昨年、ひざの手術に踏み切ったが)今は痛みもないし、毎日ケアしています。けがする前に戻っていると思います。試合に出るのが久しぶりなので、オリンピックに向けて試合勘や緊張感を取り戻せればいいと思います。勝つつもりで臨みますが、オリンピックにつなげられる試合ができれば、と思います」

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