巨人・丸、ウィーラーら離脱でも一軍に呼ばれない…陽岱鋼の “悲惨な現状”

現在は三軍で調整中の巨人・陽岱鋼

新たな救世主は現れるのか。巨人は8日の阪神戦(甲子園)で3―0の完封勝利を飾り、連敗を2で止めた。原辰徳監督(62)が求めるのはさらなる得点力アップで、丸佳浩外野手(31)ら主力勢を欠く戦いは今後も続く。起爆剤となり得る存在も不可欠で、戦力供給源となるファームでの生活が長引いている陽岱鋼外野手(34)の現状とは――。

打線改造が奏功した。昨年8月以来となる2番に据えた坂本に初回から今季1号ソロが飛び出して先制。そして、今季初スタメンマスクとなった炭谷は攻守で存在感を示した。4回には貴重な中犠飛で追加点を挙げ、先発・高橋とのコンビでは8回途中無失点の好投を引き出して2勝目に導いた。

打線が低迷し、思わず「3点打線を目指すよ」とボヤいたこともあった原監督の目標にはひとまず到達。しかし、この現状に満足できるわけではない。試合後には「いい兆しは出ていると思いますね」としつつも「こんなもんではないのでね。打線そのものがどんなメンバーであっても4点、5点を取っていくという態勢は見せないといけませんね」と、さらなる奮起を求めた。

丸やウィーラーら4選手が新型コロナウィルスの陽性判定を受け、戦列復帰までには当分時間がかかる。期待の新助っ人のスモークやテームズも来日済みながら、2週間の隔離期間中で合流できるのはまだ先だ。今季のチームスローガンである「1Team!」の通り、一~三軍までが一丸となってカバーし合っていく必要がある。

そんな中で、気になる存在の一人が陽岱鋼だ。開幕前の3月中旬に一軍での出場機会が減少するとの首脳陣の判断で二軍に合流。今回のようなチームの急場こそ、実績十分のベテランの力も頼りになりそうだが、現状はどうなっているのか。

結論からすれば、3月28日のイースタン・リーグの日本ハム戦(ジャイアンツ球場)に途中出場したのを最後に、現在は三軍で再調整となっている。2016年オフにFA加入したが、故障や不振に悩まされ、今季は「後がない」と不退転の覚悟を口にし、春季キャンプ中も居残り特打を毎日のようにバットを振り続けた。

それでも、二軍公式戦では出場4試合で打率7分7厘(13打数1安打)、0本塁打、0打点で6三振と大不振。球団関係者からも「気持ちが空回りしているのではないか」と心配されていたが、努力が結果に結びついていない状態だ。

さらに、気持ちがプツリと切れてしまったのか、他球団のスタッフからは「三軍まで落ちたのは、二軍戦で怠慢プレーがあったという話を聞いたことがある」との情報も聞かれた。二軍には「若手育成の場にしたい」との阿部二軍監督の意向があり、ベテランの陽岱鋼に若手をはるかに上回る出場機会を与え続けるわけにもいかない。昨夏のように〝ドツボ〟にハマった陽岱鋼のリフレッシュを兼ね、再起を期して三軍に送った可能性はある。「このメンバーで戦うしかない」(原監督)。この日の一勝をバネに、一軍の総力を結集して緊急事態を乗り切っていけるか。

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