プロ野球で欠かせぬ地元との繋がり パ6球団が取り組む地域貢献活動とは?

稲葉篤紀SCOが参加した「FOOTSTEP FUND~あしあと基金~」【写真:(C)H.N.F.】

西武や楽天、ソフトバンクなどが今季の活動を続々と発表

西武ライオンズは、3月30日に埼玉・幸手(さって)市と「連携協力に関する基本協定」を締結した。これは、西武ライオンズの地域コミュニティ活動「L-FRIENDS(エルフレンズ)」の活動の一環で、地域社会の発展や市民福祉の向上を目的としたものだ。

さらに、楽天は4月1日に岩手・岩泉町と宮城・石巻市に「こどもスタジアム」を寄贈したことを発表。ソフトバンクも2016年から続く「ファイト!九州」プロジェクトの2021年の取り組みを発表した。

このように地域に密着しているプロ野球チームにとって、地元ファンは欠かせない存在である。球団と地域、地元の人々はどのようにして繋がっているのか。そこで今回はパ・リーグ各球団が取り組んでいる地域貢献活動を紹介する。

日本ハムでは2015年から健康増進と社会貢献を目的とした「FOOTSTEP FUND~あしあと基金~」を実施。ホームゲーム前に札幌ドーム周辺を歩き、参加者の10歩が1円となるというものだ。2020年10月時点で2874万5462歩のあしあとを積み重ね、北海道内のパラスポーツ団体などに対して競技用車椅子を寄贈している。今年はビデオ会議ツール「Zoom」を利用して「リモートあしあと基金チャリティトーク」を開催し、全国各地のファンが参加。ウォーキングを通して、心身ともに豊かな北海道を創っていく。

陸前高田こどもスタジアム【写真:(C)Rakuten Eagles】

楽天は東北各地にスポーツ施設を建設、西武は53市町村と連携

楽天が設立した「TOHOKU SMILE PROJECT」では、東北の子どもたちが生き生きと体を動かせるスポーツ施設を作るため、寄附金の募集活動を行っている。これまでには、第1弾として福島・相馬市に「相馬こどもドーム」を、第2弾として岩手・大槌町に「大槌こどもグリーンフィールド」を設立。そして4月1日第3弾として、岩手・岩泉町と宮城・石巻市に「こどもスタジアム」を寄贈したことを発表した。現在、第4弾の宮城・名取市の「こどもアスレチック(仮称)」新設に向けて募金を呼びかけている。

西武と幸手市の「連携協力に関する基本協定」締結式の様子【写真:(C)SEIBU Lions】

また、西武は、地域・ファン・選手・スタッフの繋がりを通して、未来への夢をつないでいくプロジェクト「L-FRIENDS」を実施。その活動の一環として、埼玉県内の53市町(2021年4月2日現在)を「ライオンズ フレンドリーシティ」と呼び、連携協力に関する基本協定を締結している。事業内容はスポーツ振興・青少年健全育成・地域活性であり、西武OBによる小学校での授業支援や主催試合への招待、球団マスコットのレオとライナによる幼稚園・保育園訪問。また、観光支援事業としてフレンドリーシティの観光行事や名産品のPR活動をサポートしている。

ロッテは2011年7月から「マリーンズ算数ドリル」を千葉市内の全ての公立小学校へ無償配布している。「マリーンズ算数ドリル」は千葉市教育委員会の後援とNPO法人「ちば算数・数学を楽しむ会」の協力をもとに制作。小学1年生~6年生用の6種類が用意され、いずれのドリルにも問題の中に千葉ロッテの選手が登場。球団マスコットのマーくん・リーンちゃん・ズーちゃん・謎の魚もイラストとして描かれるなど、野球に関する内容が盛り込まれており、楽しみながら勉強できる内容となっている(2021年の配布は現段階で未定)。

ファイト!各県アンバサダー【写真:(C)SoftBank HAWKS】

ソフトバンクは「ファイト!九州」プロジェクトを継続して実施

オリックスが行っているのは、子どもたちを対象とした野球大会「バファローズCUP」、球団OBによる野球教室の開催、監督・選手・マスコットによる大阪府の小学校、福祉施設などへの訪問だ。地域の人々からより親しみをもって迎えられる球団となること、地域と球団との距離を縮めることを目的としている。年間約60校へ訪問し、トークショーや小学生とのキャッチボールを行っており、2019年にはナイターの試合前にも交流イベントを実施した。

ソフトバンクは九州に根差した球団として、2016年4月より熊本・大分地震災害復興プロジェクト「ファイト!九州」を発足。コロナ禍の今年は災害復興支援に限らず「ホークスが九州を元気にする活動」を行う。九州の子供たちから叶えたい夢を募集し、実現する「あなたの夢を叶えます!」プロジェクトや、九州各地の小学校にひまわりの種を配り笑顔の輪を広げていく「笑顔の花を咲かせよう!」プロジェクトをはじめとした取り組みを実施する。

ファイト!九州ユニフォーム【写真:(C)SoftBank HAWKS】

活動の象徴となる「ファイト!九州ユニホーム」は九州各県の県花がモチーフ。デザインは福岡在住のグラフィックアーティスト「WOK22」が手がけた。「九州を元気にする」というコンセプトにぴったりな、華やかで明るい気持ちになれるユニホームだ。同ユニホームは、6月13日のヤクルト戦で開催される「ファイト!九州デー」にて、ビジター応援席を除く来場者全員にプレゼントされる。

パ・リーグ球団ではプロ野球の力を通じて、まちづくりと地域住民の心身の健康づくりに貢献している。地域全体から愛されるチームへ。地域とともに歩み続ける各球団の活動に、今後も注目していきたい。(「パ・リーグインサイト」高橋優奈)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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