Vol.22 Mavic一択ユーザーがついにDJI FPV入手した理由とは?[田路昌也の中国・香港ドローン便り]

DJIの新型ドローン「DJI FPV」

2021年3月2日、DJIは新型ドローン「DJI FPV」を発表しました。発表されたドローンは魅力的だし興味はあるけれど私の手に負えるものではないと判断し一旦購入は見送りました。

その後、3月5日に「FPVについて語るライブ」を私のYouTubeチャンネルで実施、上海在住で長年FPVをやっている小澤さん、香港ドローン仲間の田池さんにご参加いただきました(お二人のYouTubeチャンネルを下に記載しています)。ちなみに田池さんはDJI製品以外にもParrot AnafiやAutel EVOに加えて数台の水中ドローンを所有するという経験豊富な方です。

購入はないと思って開始したライブだったのですが、終了時には購入の意志を固めていたことに私自身が一番驚きました(ライブ映像リンクを下に掲載します)。次の2点をライブ中に確認できたことで購入に傾きました。

  • これまでのMavicシリーズと同様に飛ばせるNモードが備わっている
    DJI FPVはノーマル(N)モード、スポーツ(S)モード、マニュアル(M)モードという3つのフライトモードが用意されており、初心者からベテランユーザーまで対応可能になっている
  • 緊急停止ボタンが送信機に備わっている
    万が一コントロールできなくなったときにも緊急停止ボタンを押すことで瞬時にホバリングモードに移行する機能が装備されている。これであればMモード飛行時にミスっても事故を回避可能

これらの機能があるなら難しいMモードが習得できなかったとしても、運動性能の高いドローンを手に入れたと自分を納得させることはできそうです。

もうひとつ、ここ最近の自身のドローン映像がマンネリ化していると感じていたこともFPVへ踏み込ませた要因かもしれません。いまやYouTubeは言わずもがな、地上波テレビでもドローン映像が溢れておりカメラドローンの映像はもはや特別ではありません。

まだ自由に旅行ができた2019年、前述の友人達と中国の絶景スポットである桂林や張家界に出かける計画を話していたときに思い描いていたのは映画アバターに出てくるような奇岩の間をすり抜けるFPV的映像でした。コロナが収束したら絶景スポットにでかけてFPVを縦横無尽に操作し新鮮味のある映像にしたい!

そんな思いが最終的に購入を決断した理由のように思います。ということで、ここまで私がDJI FPVを購入するに至った流れを書いてきましたが、それでは実際に購入し3週間経過した今どう思っているのか?

これはもう大満足です。夜は連日シミュレーター三昧、週末には出かけて実機での練習をしています。

もちろんいまだに実機ではNモードとSモードのみ、シミュレーターのみMモードですが、それでも下のDJI Mini 2とFPVの混在する映像をご覧いただけば安定したドローン映像に、FPVの映像を混在させることでメリハリのある映像になりそう、というポテンシャルは感じていただけると思います(この映像はNとSモードのみで本当の意味でのFPV映像と呼べるものではありませんが、あくまで予感させるということで多めに見てください)。

さて、ここからはライブで教えてもらったDJI FPVは既存FPVユーザーにとってもゲームチェンジャーであるという小澤さんの指摘をシェアしておきたいと思います。

■FPVドローンとしては非常に長い20分程度のフライトが可能

これまでのFPVでは1本のバッテリーで5分程度しかフライトできないのが一般的でした。

しかしDJI FPVでは20分程度飛ばせることに加え、フライト中でもNモード、Sモード、Mモードを切り替えられることで、例えば波待ちしているサーファーをNモードでホバリングしながら待機、サーファーが良い波を捉えた瞬間にMモードに切り替えてダイナミックな撮影をすることができるのではないか。

これは単なる一例ですが、これまでのカメラドローンとFPVの良いとこ取りをしたDJI FPVならばこその活用法だと思います。

■DJI FPVは日本ユーザーにこそ魅力的

日本以外で販売されるDJI FPVはゴーグル映像の伝送に5GHz帯を使っています。しかし日本販売されるDJI FPVは、ゴーグル映像の伝送も2.4GHz帯を利用するという特別仕様になっています。

これまでFPVを日本で楽しむには、ゴーグルを使うことによる国土交通省への目視外飛行申請に加え、5GHz帯使用に伴う無線局開局申請を総務省に対して行うという2つのハードルがありましたが、今回のDJI FPVは2.4GHzのみ利用ということで総務省への申請が不要になります。

本格的にドローンを飛ばしているユーザーの多くは国土交通省への申請は経験されていると思いますので、これまで通りの申請でFPVが利用できるようになるのは日本のユーザに取って大きなメリットだと言えます。

加えて商用で5GHz帯を利用する場合の手続きは更に面倒だったのですが、2.4GHzのみ使用するDJI FPVなら総務省申請が不要になるわけで商用利用の面でもハードルをぐんと下げてくれるとのことです。

今回のコラムが私と同じようにカメラドローンの映像にやや飽きたが、FPVは手に負えないと躊躇している方々の参考になれば嬉しいです。

関連リンク

▶︎小澤さん(コザックさん)のYouTubeチャンネル

▶︎田池さんのYouTubeチャンネル

▶︎YouTubeライブ映像(40:00~小澤さんのDJI FPVに関する解説)

© 株式会社プロニュース