同性愛が当たり前の世界で、少年に恋する少女の物語「君のことが好きで言えない。」作者・みかみふみ先生インタビュー

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――もしも地球に不思議な隕石が落ちてきて、人類が同性同士で愛する世界になっていたとしたら。
もし、そんな世界があったとしたら、我々ゲイからみた異性愛者はどんなふうに恋をして、どんな日常を過ごしていくのでしょうか…。

講談社の少女漫画誌「デザート」5月号で連載がスタートした『君のことが好きで言えない。』は、そんな世界を舞台に、幼なじみの男子同級生に恋する少女が主人公の物語。

偏見が混ざった何気ない周りの会話に傷付き、嫌われたくなくて本当の自分を隠す日常。告白できないけれど一緒にいたい、大好きな人への切ないトキメキ。少なからずLGBTQ当事者にも経験がありますよね。

今回はそんな作品を世に送り出した作者・みかみふみ先生に、この作品に込めた想いや描く上で意識していることなどを伺いました。

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――今回の「同性愛者だけの世界」をテーマに作品を描こうと思ったきっかけを教えてください。

少女漫画を描きたいのにありふれた恋愛漫画を描くのが元々苦手でした。
また、同性愛をテーマにした題材には前々から興味があったので、じゃあその題材を少女漫画として成り立たせるにはどうしたら良いかな?と考えて思いついた企画です。

ですが、2014年頃から各出版社さんに掛け合っても、没の連続で…。諦めきれず応募し続け、ようやく今回の担当さんと出会い、「連載企画にしてみよう」と言って頂けて実現に至りました。

そうして担当さんと一緒にLGBTQを勉強しながら内容を試行錯誤していく中で、最初は思いつきだけの企画だったものが、徐々に方向性を固めていき、私の中でもLGBTQに対しての意識がかなり変わっていったかと思います。

――マイノリティを題材とした作品を描く上で意識、もしくは気をつけていることはありますか?

少女漫画ですので、女の子が胸キュンするような、男女のラブストーリーをベースとして、多くの読者は「異性愛者」の主人公目線で読むと思うのです。作品上、同性愛が当たり前である世界で、異性愛がマイノリティだったとしても。

その中で、同性愛のことを理解してもらったり、読者さんと違うセクシュアルに偏見的な印象を与えてしまわないように、細かなニュアンスのチェックをはじめ、私だけの言葉で世に出さないよう、多方面の方にも協力いただき制作するよう心がけています。

少しずつではありますがアドバイスを頂きながら、私自身も一緒に学んでいける作品として、とてもやりがいと有り難みを感じているのが正直なところです。

――ずばり、この作品はどのような方々に届けていきたいのでしょうか?

自分語りになってしまい恐縮なのですが…私は10代の頃、クラスに溶け込めないタイプの人間でした。女子の恋愛トークや人間関係は苦手だし、取っ付きやすい男子はいたけれど、好かれるのは苦痛で…。

思春期の大半は性別に振り回されてモヤモヤする日々を過ごしていて孤独感もすさまじかったです。そんな中で、心の隙間をたくさんの漫画に埋めて貰っていました。なので私も「この世の中、生き辛いなぁ…」と感じている方たちを元気づけられるような漫画をお届けできたら良いなと思ってます!

そして、「もしかしたら自分が気付いていないだけで身近にもこんな人がいるのかもしれないな」と、LGBTQの方々の気持ちに寄り添って頂けたら嬉しいです。

――これから作品を読むLGBTQの方々へメッセージをお願いします。

当事者の方々にも、受け入れて貰えるのかがとても不安ではありますが、とにかくキュンキュンして頂けたら…二人の恋を応援したいなと思って頂けたらとても嬉しいです。
そして、私なりの伝え方で明るい世の中になるように、頑張って楽しい漫画づくりをしていきたいと思っています。

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■ プロフィール/みかみふみ
千葉県出身。2013年『スキマツキ』(白泉社「花とゆめ」)でデビュー。代表作に『魔法使いだった猫』『制服とご飯。』など。現在、講談社の少女漫画誌「デザート」にて『君のことが好きで言えない。』を連載中。
Twitter@kafuko0908

インタビュー/みさおはるき
画像提供/©みかみふみ/講談社
記事制作/newTOKYO