盲目のシンガーソングライター・佐藤ひらりと西陣織がコラボ「西陣 connect」を展開!

京都市は、「西陣を中心とした地域活性化ビジョン」の推進を図るため、西陣の未来の担い手となる若者を地域に呼び込み、起業家や職人を地域全体で育てるための体制づくりを目指す構想を掲げる博報堂とともに、「西陣 connect」を展開している。

「西陣 connect」は、西陣の魅力を広く発信し、西陣にイノベーションが創発しやすい環境をもたらすための活動だ。その一環として西陣織の新境地開拓を目指し、西陣織の事業者3社と、異分野のクリエイター3者がチームを組んで独創的な3本の帯を開発する企画「三帯三」に取り組み、その作品が完成したことが発表された。

そして、制作過程や開発者のインタビューをまとめたメイキング映像も制作された。

「三帯三」とは?

「三帯三」は、西陣織の事業者3社と、「絵本作家」「建築家」「シンガーソングライター」という、敢えて伝統工芸とはかけ離れた分野で活躍する一流のクリエイター3人をマッチングさせ、和装等になじみの薄い層にも訴求する独創的なコンセプトの帯を開発する企画だ。

クリエイターの豊かな感性と西陣織の最高峰の技術を融合させ、これまでにない帯を生み出すとともに,西陣の魅力を様々な方に知っていただくきっかけとして、帯から得られた感情を表現した楽曲を制作するなど,帯に留まらない広がりのある企画に発展させている。

完成された帯のひとつに“盲目のシンガーソングライター”佐藤ひらりと、西陣の織元ブランド秦流舎とのコラボ作品「鼓動」を紹介。赤は動脈、青は静脈を表している。佐藤ひらりの「機音が4拍子に聞こえる」というコメントから4拍子のタクトをイメージした金彩が施されている。鮮やかな色彩だけではなく、「しぼ」を使った豊かな手触りが魅力だという。

コンセプトは、生まれつき目の見えないシンガーソングライター佐藤ひらりが、西陣のまちを歩き、機織りの音を聞き、糸染めの湿気や匂いを感じ、そして秦流舎野中順子氏から西陣織の話を聞いた。そして彼女が口にしたのは「爽やかだけど元気になれる、未来へと歩み続ける鼓動」のように感じるということ。西陣のまちから体全体で感じ取ったことを、「鼓動」という楽曲に仕上げた。秦流舎は「西陣御召」の会社であり、さまざまな手触り・風合いを生地で表現することが得意。自社で開発した様々な生地を触ってもらい、佐藤ひらりが手をとめたのが「しぼ」と呼ばれる強い撚りをかけた糸が用いられた特徴的な風合いの生地だった。「鼓動を表現する動脈の赤と、静脈の青を基調にしたデザイン」を考案した野中氏は、太鼓の部分に「しぼ」で作った素材を縫いこんで鮮やかで、しかも他にない触り心地の1本を完成させた。

その他、本作家 谷口智則氏とのコラボ帯「つながるおもひ」。建築家 髙濱史子氏とのコラボ帯「無題」が完成している。

参考 https://www.nishijin-connect.com/

<シンガーソングライター 佐藤ひらり>

2001年5月28日新潟県三条市生まれ。武蔵野音楽大学総合音楽学科作曲コースに在学中。

視神経低形成により、生まれつき全盲。5歳の時、ピアノに触れ音楽に目覚める。小学校入学後、アルビレックスBB・BCにて国歌斉唱。2013年 ニューヨーク アポロシアターにてアマチュア・ナイトに挑戦し、ウィークリー・チャンピオン獲得。第34回 国民文化祭にて天皇皇后両陛下の御前で国歌斉唱。「東京 2020NIPPON フェスティバル」の世界配信に出演予定。他、イタリア、ネパールなど国内外で活躍中。

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