【柔道】「畳の上でいい子になっていた」〝異端児〟向翔一郎はトンネル脱出を確信

オンライン取材に応じた向

柔道のグランドスラム(GS)アンタルヤ大会、アジア選手権(キルギス)の国際大会2連戦を終えた東京五輪男子代表選手団が10日夜、羽田空港に帰国。90キロ級の向翔一郎(25=ALSOK)が一夜明けた11日、オンラインで取材に応じた。

GSアンタルヤで初戦の2回戦敗退、アジア選手権では決勝で敗れて準優勝に終わった向は「厳しい試合だった。GSでは(1月の)マスターズで勝った相手に負けてアジアでは決勝で負けて、収穫といえばメンタルを鍛えられたことぐらい」と唇をかんだ。

向は〝柔道界の異端児〟とも評され、その破天荒な言動や柔道スタイルで注目を集めていたが、最近は鳴りを潜めていた。その理由について「オリンピック代表になってから、今までとは違う重圧に折れかけていた」と明かした上で、昨年6月にSNS上でのトラブルから全日本柔道連盟(全柔連)から厳重注意を受けたことに触れた。

「自分の中で問題を起こしちゃいけない、もう全日本にも会社にも迷惑をかけちゃいけないというのがあって、畳の上でもいい子にしてしまっていた」

自身ではそんなつもりはなかったものの、周囲からはそう映っていたそうで「スタッフに『(畳の上では)自由にやっていい』と言われて楽になった。今回決勝で負けたが、トンネルを抜けたような気がする」と手応えを口にする。

その上で五輪に向けて「自分の弱さは分かっているし、直す時間はある。誰の対策ということではなく『向翔一郎』という柔道スタイルを突き詰めて本番に向けて仕上げていきたい」と前を向いた。

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