古代群馬を鉄から探る 県文化財保護課 笹沢さんが成果出版

©株式会社上毛新聞社

「群馬の国家形成の礎が見える」と鉄の歴史の魅力を語る笹沢さん

 群馬県の古代史を鉄の歴史からひもといた「鉄が語る群馬の古代史」(みやま文庫)が刊行された。著者は20年来、古代鉄研究に取り組む県文化財保護課の笹沢泰史さん(50)。古代群馬に暮らす人々が鉄や製鉄技術を手に入れた過程や方法を紹介し、東国文化開花の礎を探っている。笹沢さんは「国力の基礎となる鉄。鉄をたどると群馬の新たな魅力が見えてくる」と語っている。

 本書は八つの章に分かれる。本県に鉄器が現れた弥生時代から、東日本で最も早く製鉄技術を導入した飛鳥時代、より効率的な炉の形へ変化していった平安時代ごろまでの古代群馬の鉄に関わる歴史をまとめた。

 弥生時代後期の鉄器とみられるおのや剣、アクセサリーなど県内での出土例を写真を交えて紹介したり、県名のルーツといわれる古墳時代の馬生産について馬具から分析したりしている。

 笹沢さんは発掘調査研究を基盤に、韓国、イギリスといった海外でも資料調査や研究発表を行うなど、古代の鉄についての研究をライフワークとしている。最新の古代鉄研究の成果を基に地域の歴史をまとめた書籍は珍しいといい、「読み進めると東国文化発展の理由が見えてくる」と話す。

 今後も研究を進めていくという笹沢さん。製鉄技術が伝わった西アジアからの世界の地域をつなぐ「アイアンロード」で、“最東端”といえる本県をはじめとした東日本の鉄研究は「これからが面白くなる」と力を込める。

 19世紀にドイツを統一した政治家、ビスマルクの言葉「鉄は国家なり」を引き合いに、「国の開発や軍事は鉄に支えられてきたことが郷土史から分かる」としている。

B6判、206ページ。1500円。県内約20の書店や県立歴史博物館(高崎市)などで購入できる。問い合わせは同文庫(027-232-4241)へ。 (北沢彩)