円の行方、ドルの行方 第284回 ドル/円の買い手は?

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ドル/円は、年初来上昇トレンド続いてきました。

押しらしい押しもない中、湧いてくるような買いにジリ高が続いていることから、基本的な上げの原動力はショートの買い戻しだと見ています。

確かに、シカゴIMMポジションの円ショート(ドルロング)は、3月30日時点で59,479枚とさらに増えてきていますが、シカゴIMMポジションでは反映されない部分で、ドルショートはまだあると思われます。

つまり、逆張りを得意とする日本勢が売り上がっているために、マーケットが恒常的にショートになり、しかし下がらないため買い戻しを繰り返しているものと見ています。

ここで、日本勢と特定しましたが、中でも日本の個人投資家のFX取引高が、この3月末に終わった2020年度が過去最高になるなど、世界的にも日本の個人投資家層がマーケットに与える影響はさらに増しています。

そうはいっても、個人ひとりひとりの注文は小口で、それほど相場に影響力はないだろうと思われるかもしれませんが、こんな例があります。

これはインターバンクにいたころに経験した企業取引の例ですが。大手企業1社による1件の大口の買いよりも、多数の企業による多数の小口の買いが集まってくる方が、上に抜けやすいという傾向がありました。

これで、企業よりも桁違いに件数の多い個人の取引が動くと、相場は動きます。

しかも、これは個人に限らず、日本勢の特性として、逆張りを好むため、今回のような上昇トレンド相場では、売り上がってショートが膨らみやすく、しかし下げきれず買い戻すため、上げの原動力になっているものと思われます。

それでも、個人投資家にそこまでの力があるかと、思われるかもしれませんが、東京市場には、今やインターバンク市場はほぼ存在せず、実需の輸出入企業や機関投資家に伍して個人投資家層が市場を構成しています。

一説には、東京市場の取引高の50%を個人が占めているとも言われています。

今回のドル/円上昇では、輸出企業は、すでに106円~107円あたりで、大方売ってしまって、売り玉がなく、輸入企業は買い遅れ、また機関投資家は年度末で動きづらかったところに、個人投資家層が売り上がったことでマーケットポジションがショートになり、逆に買い圧力になったものと思われます。

上げ方をチャートで見ても、はっきりわかります。

ジリジリと上げていくジリ高の時は、上げに持続力があります。

これは、売ったけれども下げきらないので、買い戻すものの、また新たなマーケット参加者が値ごろ感から売ってくるため、結局、マーケットのショートポジションが切れず、上げ続けます。

しかし、さすがに下げきれなくなり、多くのマーケット参加者が設定していたロスカット点にいたると、買い戻しが集中し、急騰します。

これにより、ショートポジションが大きく縮小します。

そして、今度は、強気になって買うため、ロングになり、反落します。

しかし、ロングのポジションが解消し、またしても、戻り売り先行が始まるため、ジリ高が再開します。

要は、ジリ高が継続中は、押し目で買って、ロングポジションをキープし、急騰になったら利食うということが大事だということです。

そして、急騰で上げた部分が調整的に緩んで、今度はロングのロスカットが出だしたら、押し目買いを改めてするということです。

このチャートでも、お分かりのように、左下から右上に対角線を描くように上げています。

そして、一気に上げたところは調整されて、またジリ高が再開していることがわかります。

尚、こうした一本調子の上げはもちろんトレンド相場で発生しやすく、上昇トレンド相場では、Buy and hold(買って持ち続ける)と、結構儲かることは確かです。

ただし、いずれはトレンド相場にも終わりが来ます。

その相場の変わり目がきたかどうかを知るには、相場がかなり大きく乱高下始めたら要注意です。

大きく乱高下を始めたら、即刻ロングポジションを手仕舞うことです。

でないと、せっかくトレンド相場で儲けた利益を減らしたり、無くしたりする危険性があるからです。

この点には、十分な警戒が必要です。

尚、上昇トレンドが終わったからと言って、相場が180度反転することは少なく、基本的に横ばいのレンジ相場になる傾向があります。

ストラテジスト 水上紀行