「1打席目にインプットし、2打席目に対応」 DeNA三浦監督も驚く新人・牧の“実戦力”

DeNA・牧秀悟【写真:荒川祐史】

ガンケルのスライダーを技あり4号ソロ、オープン戦よりも数字を上げる活躍

■阪神 3-2 DeNA(11日・横浜)

阪神・佐藤輝明だけではない。DeNAのドラフト2位・牧秀悟内野手は11日、本拠地・横浜スタジアムで行われた阪神戦の4回に、相手先発のガンケルから逆方向の右翼ポール際へ4号ソロを放った。同日現在、打率.383はリーグ3位、4本塁打はトップに1本差の3位タイ、14打点もトップに1差の単独2位。出塁率もリーグ3位の.438で、最下位低迷中のチームにあってひとり気を吐いている。

牧は今のところ、全15試合に3番でスタメン出場している。三浦大輔監督は「本人が結果を出してつかんだポジション」と称え、その打棒を「ほぼ初対戦の投手ばかりの中で、1打席目に投球を頭にインプットし、2打席目にはしっかり対応する。選球眼もいい。そういう対応力がすごい」と評する。

この日の本塁打がまさに象徴的だ。ツーシームとスライダーが武器のガンケルに対し、初回2死走者なしでの第1打席はファウルで粘り、カウント3-2から9球目を選び四球で出塁。そして4回1死走者なしで迎えた第2打席では、カウント2-1から4球目の外角のスライダーを右翼席へ運んだ。内角へのツーシームが3球続いた後、この打席で初めて来たスライダーだったが、前打席で見た軌道が頭に入っていたのだろう。「感触は良かったですが、入るかわからなかったので一生懸命走りました」とコメントこそ初々しいが、新人離れした技ありの一発だった。

開幕前のオープン戦では9試合出場し、打率.273、0本塁打、3打点だった。オープン戦で打ちまくったルーキーが相手に研究され、開幕した途端パタリと打てなくなるのはよくあるパターンだが、牧は逆に数字を上げている。三浦監督が「経験を積めば積むほど良くなる」と確信するゆえんだ。

これまで全15試合にスタメン出場したうち、14試合は一塁手、1試合は二塁手として。週明けの13日ヤクルト戦(神宮)からは、コロナ禍でチームへの合流が遅れていたネフタリ・ソト内野手が戦列に復帰する予定で、今後は一塁・ソト、二塁・牧が基本線になりそうだ。もともと中大時代は東都リーグで二塁手として3回、遊撃手として1回ベストナインに選ばれており、内野ならどこでも守れる。いずれにせよ、当面は誰が復帰しようと、牧を使わない手はない。

9日の対戦で横浜スタジアムの場外へ消える推定飛距離140メートルの特大弾を放った阪神・佐藤輝に比べると、スケールの大きさこそ一歩譲るが、確実性では現時点で数段上。持ち味の違う2人の新人王争いが、ますますおもしろくなりそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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