隈研吾氏の作品、朽ちかけた姿で確認 福島・玉川

©株式会社河北新報社

阿武隈川河畔に立つ朽ちかけた隈氏設計の建物

 今夏開催の東京五輪・パラリンピックでメインスタジアムとなる国立競技場の設計に携わった世界的建築家隈研吾氏の知られざる建築作品が、福島県玉川村の阿武隈川河畔に半ば朽ちかけた状態で放置されている。その価値に気付いた村が建物を買収し、新たな交流拠点へと再生を期すプロジェクトが始まった。
 建物は1996年に開業した鉄筋2階の飲食店で、延べ床面積は約925平方メートル。同県須賀川市との境に位置する乙字ケ滝(おつじがたき)公園の隣接地に立地する。
 国産木材を多用する建築手法で、周辺の自然環境との融和を重視する設計思想へと向かうきっかけになった建物とされる。
 しかし2011年の東日本大震災で建物が被災して店舗は閉店した。19年の台風19号では阿武隈川が増水して一部が水没し、老朽化が進んだ。
 全国的に隈氏の作品群に関心が集まる中、村も建物の価値に着目。河川防災を担う国土交通省や県事業と組み合わせ、奥の細道紀行で俳聖松尾芭蕉が立ち寄った乙字ケ滝と一体で整備する方針を決めた。
 昨年末に建物を1980万円で買収し、サイクリングやカヌーを楽しむ複合型水辺施設に生まれ変わる予定だ。25年度の利用開始を目指す。建物再生に要する費用は1億5000万円を見込んでおり、民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式を導入する。