九州高校野球県大会 長崎商4季ぶりV 小浜に3―2

【決勝、長崎商―小浜】9回表長崎商1死、城戸が決勝のソロ本塁打を放ち、雄たけびを上げる=県営ビッグNスタジアム

 第148回九州地区高校野球県大会最終日は11日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで決勝と3位決定戦が行われ、決勝は長崎商が小浜に3-2で競り勝ち、4季ぶり8度目(昨春はコロナ禍で中止)の優勝を飾った。長崎商と選抜出場校で推薦枠の大崎は九州大会(24~30日・大分)に出場する。組み合わせ抽選会は15日に行われる。
 長崎商は0-1の三回1死一、三塁から、横田、大町の連続適時打で2点を奪って逆転。六回に同点に追いつかれたが、九回1死から、城戸が決勝の左越えソロを放った。投げては先発城戸が5回2/3を3安打2失点、2番手田村が3回1/3を2安打無失点でつないだ。
 小浜は二回に山本紘の犠飛で先制。エース中野の力投に応え、六回に川村の適時打で2-2と試合を振り出しに戻したが、あと一歩及ばなかった。
 長崎日大-海星の3位決定戦は、序盤から激しい点の取り合いとなり、最後は長崎日大が15-6の七回コールドで突き放した。

◆長崎商 城戸 9回決勝ソロ
 強烈な一発が試合を決めた。六~八回を三者凡退に倒れ、流れが小浜に傾きかけていた2-2の九回1死、長崎商の城戸が左翼席へ弾丸ライナーの勝ち越しソロを放った。「三塁コーチャーの『入った』の声で分かった」。ヒーローは夢中で二塁を回ったところで雄たけびを上げた。
 昨夏の新チーム始動以降、病に苦しんだ。本格派のエース候補として期待されながら、リンパの炎症で発熱が治まらず、入院を含めて戦列を離れた。秋の県大会準々決勝で復帰登板したものの、延長サヨナラ負け。投手陣だけで10人を超えるチーム内で、悔しさを胸に冬を越え、背番号10で今大会を迎えた。
 2、3回戦、準々決勝に続き、この日も先発として5回2/3を被安打3、自責点1と試合をつくった。身長180センチ、体重80キロの強打者でもあるため、六回途中にマウンドをエース田村に譲った後は右翼手へ。そして迎えた第4打席。「いい風が吹いとるぞ」。西口監督の声が聞こえる中、甘く入ったカットボールを見事に捉えた。
 新3年生として投打で大きく飛躍した大会。でも、これで満足するわけにはいかない。準決勝で完投して決勝も好救援した田村が「投手陣全員で(背番号)1番を争う」と言ったように、部内競争も一層激しくなる。
 求められるのは、春の甲子園出場校もひしめく次の九州大会で結果を出すこと。「長商らしく接戦も勝ち上がって、1試合でも多く戦いたい。夏に向けて、自分が1番を取りたい」。優勝の立役者はさらなる進化を誓っていた。

 


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