CEV Moto2、フル参戦2年目を迎える羽田太河「まずは表彰台に立ちたい」

 FIM CEV レプソル Moto2 ヨーロッパ選手権でフル参戦2年目を迎える羽田太河(はだ・たいが)が3月中旬、スペインに旅立った。昨年は、コロナ禍の中、9月に開幕し5戦11レースが行われた。羽田は3度の4位を最高位に、シリーズランキングでも4位というリザルトを残した。

「3位目前というレースもありましたが、チーム力は完璧なので表彰台に立てなかったのは、自分自身の実力不足ですね。Moto2マシンは、限界が高いので思っていた以上に難しいです」

羽田太河(AGR Team)/FIM CEV レプソル Moto2 ヨーロッパ選手権

 羽田が所属するAGR TEAMはバルセロナにあり、チーム監督の家にホームステイしている。日本人は羽田のみという環境だが居心地はよさそうだ。

「言葉は、なかなか上達しませんが意外に平気ですね。周りは、いい人ばかりなので、レースはもちろん、生活もしやすいです」

 CEVは、もともとスペインの国内選手権だったが、MotoGPのプロモーターであるドルナがあり、ロードレース人気の高いスペインということもあり、ここ10年は特に盛り上がりを見せ、Moto3クラスは、ジュニア世界選手権として行われている。

羽田太河(AGR Team)

 羽田の参戦しているCEV Moto2には、2018年まで世界選手権で使われていたホンダエンジンとシャシーが使われており、世界選手権以外で、ここまでコンペティブなレースになっているシリーズは、他にはない。

「CEV Moto2は、すごくレベルが高いと思います。去年はイタリア人ライダーが速くてタイムもよかったですね」

 サーキットは、スペインが中心となっておりMotoGPも開催されているバレンシア、カタルーニャ、アラゴン、ヘレスに加え、4月25日の開幕戦はポルトガルのエストリルや、Moto3は、MotoGPサンマリノグランプリ併催で行われる予定となっている。

「スペインのサーキットは、路面のμが低く、コーナーのRも独特なコースが多いですね。バレンシアは、単純そうなコースレイアウトですが、すごく奥が深くて難しい。ヘレスが一番好きですかね。チームのホームコースでもあるカタルーニャは、今年3戦目にあるのですが、初めて走るのでドキドキしています」

羽田太河(AGR Team)

 羽田は、幼少のころからポケバイを始め、ミニバイクで頭角を現していた。そこからアジアロードレース選手権(ARRC)のアンダーボーンに参戦。超混戦で有名なこのカテゴリーでランキング2位となり、ARRCのSS600にステップアップ。

 当初は、なかなか乗りこなせなかったが、3シーズン目の2017年には、初優勝を含むランキング3位とトップライダーに成長していた。2016年には、CEV Moto2にNTSからスポット参戦したこともあったが12位と下位に沈んでいた。

「アジアでCBR600RRに乗っていたので、同じエンジンだし、何とかなると思っていましたが、全く違うバイクでした。2019年にJSB1000に乗りましたが、それと比べてもMoto2マシンの方が難しいと思います」

 2019年のシーズン後半に現在所属しているチームから3戦スポット参戦する話があったが、2戦目のときにトラブルでエンジンブローが発生し、マシンから投げ出された羽田は、両手首を骨折する重傷を負ってしまっていた。

「あのアクシデントは痛かったですね。すぐにバルセロナの病院に運ばれてMotoGPで有名なミル先生に執刀してもらいました」

 完治まで時間はかかったが、昨年はコロナ禍の影響で開幕が9月と送れたことは、不幸中の幸いでもあった。

ホンダCBR600RRを駆る羽田太河(AGR Team)

 3月上旬、ツインリンクもてぎのスポーツ走行には、多くの全日本ロード組も走っていた。そんな中、型落ちのCBR600RRでひと際、派手な進入ドリフトを見せていた羽田は、最新モデルを追いかけ回していた。

「身体の調子は、すごくいいですね。まずは表彰台! そこから優勝、チャンピオンと考えて行けると思っています。もちろん世界が目標ですし、早く行けるように精一杯走るだけですね」

驚異のライディングを披露する羽田太河

 CEV Moto2では過去に長島哲太がランキング2位となり、世界に戻る切符を手に入れている。世界を目指す22歳の羽田にとって2021年は勝負のシーズンとなりそうだ。

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