小野賢章◆「アフレコは3日間あって、最終日は壮馬くんと2人でした」 斉藤壮馬◆「実は最初、僕はオーディションでハサウェイ役を受けたんです」

アムロとシャアの最後の戦いを描いた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)。その世界観を色濃く受け継ぐ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が、全3部作としてついに映画化! 第1部が5月7日より公開される。主人公は、地球連邦軍大佐のブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノア。『逆襲のシャア』で少年だったハサウェイは、シャアの反乱から12年後、反地球連邦政府運動に身を投じていた…。

複雑な陰影を見せるハサウェイ・ノアを演じるのは、小野賢章。そして、地球連邦軍の新型ガンダムであるペーネロペーに搭乗する若きエリートパイロット、レーン・エイム役は斉藤壮馬。「ガンダムシリーズに挑むプレッシャーを感じた」と語る2人に、役どころからお互いの演技までを語り合ってもらった。

――このお仕事が決まった時のお気持ちを教えてください。

小野 「ガンダムシリーズは、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅴ』「激突 ルウム会戦」(2017年)で一度参加させていただいたことがあるんです。あるコロニーに住んでいる少年・ユウキを演じたのですが、夢を抱いて生きていたのに毒ガスを吸って死んでしまうという、すごく印象的な役でした。今回はガンダムパイロットとしての参加です。オーディション合格の連絡をいただいた時はすごくうれしかったのですが、それは一瞬で…。その後はプレッシャーとの戦いでした」

斉藤 「長い間愛されているガンダムシリーズに自分が声優として関わらせていただけるのは、本当に光栄です。と同時に、多くの方の思いがつながってこの作品が映像化されるわけなので、覚悟を持って臨もうと思いましたね」

――最初に台本を読まれた時はどう思われましたか。

小野 「正直、最初はチンプンカンプンだったんです。でも、台本の後に小説を読んだら、小説にはハサウェイの気持ちや、行動の背景が細かく書かれていました。それで、“このシーンのこのセリフは…”と、一つずつかみ砕きながら、台本にメモをしつつ、役づくりをしていきました」

斉藤 「台本を読んだ時の感想は、僕も同じでした。言葉通りに意味を解釈することがすべてではない、かなり複雑な人間模様が描かれていて…。昨今、こういう作り方をしている台本のアニメーション作品は少ないのではないかと思います。僕も台本を何度か読み返しました。出来上がった映像を見せていただいたら、説明しすぎない美学みたいなものを感じました。そのあんばいが絶妙なんです。“自分で解釈していくことが大切な作品なのかな”と感じましたね。映像的には、バトルシーンやすごくユーモラスなシーンが絶妙に挟まれていて、何回も見たくなる作品です」

――小野さんが演じるハサウェイは、どのようなキャラクターでしょうか?

小野 「ハサウェイは一見、すごく好青年な印象。ただ、彼には反地球連邦政府運動マフティーのリーダー、マフティー・ナビーユ・エリンとしての別の顔があります。マフティーとしての活動はもう引き返せないところまで来ているけれど、その活動に絶対の信念を持てず、迷っていて…。でも、そんな悩んでいる部分は見せずに突き進んでいっている印象です。ハサウェイは表向きで言っていることと思っていることが、全く違っていることがあるんです。そこの微妙なニュアンスの出し方が、すごく難しかったですね」

――斉藤さんが演じるレーンはいかがですか?

斉藤 「レーンに関しては、オーディションでも本番のアフレコでも、同じディレクションをいただいたんです。それは、『若武者みたいな感じでやってください』というもの。レーンはハサウェイより経験が少なく、若さや青さがあって、それゆえ自信もある人物なのかなと、ディレクションを受けて思いました。レーンはハサウェイとは逆に、目の前の物事に対して、感情と表情と行動がマッチしていないシーンがあまりないんです。“自分の方が優れている”と思っていたら、『自分の方が優れている』と言うし、“なぜだ”と思ったら、『なぜだ』と言っている。そういう意味では、ハサウェイと対照的な人物だと思いますね。ただ、その自信の過剰さは、経験の少なさゆえ。レーンは今回の第1部でハサウェイと戦うことになります。その経験を通して、彼がどう成長していくのかが楽しみです」

――アフレコはキャストの皆さんと一緒だったのでしょうか。

小野 「基本は、僕と、ギギ・アンダルシア役の上田(麗奈)さんと、ケネス・スレッグ役の諏訪部(順一)さんの3人で一緒にアフレコをしていました。アフレコは3日間あって、最終日は壮馬くんと2人でした」

――お互いの演技についての印象もお聞きできればうれしいです。

小野 「壮馬くんが、レーンをすっごく楽しそうに演じているっていう印象が強かったです(笑)」

斉藤 「いわゆる格好いいセリフというか、戦闘中のキメのセリフもありましたしね。特に、アフレコの最初の方では相当ノリノリというか、結構大きい声をずっと出していました。実際には、何パターンか収録をしたうち、余裕があって落ち着いたニュアンスのテークが採用されていました」

小野 「僕は、役柄的に相当悩んで苦しんで、うじうじしながら演じていたので、うらやましかったです。すごく生き生きとして、本当に壮馬くんにぴったりだなって!」

斉藤 「実は最初、僕はオーディションでハサウェイ役を受けたんです。でも、直接的に闇の深さを表現する芝居を選ばない賢章さんを見ていて、賢章さんこそハサウェイにマッチしていると思いました。実際に掛け合いをしてみると…といっても、途中まではハサウェイとレーンは、ほぼ対話していないんですよね。1人ずつ、モビルスーツの中で声を出している感じで…。それが作品特有の演出で、魅力だと思うのですが!」

小野 「交わしているのは、ひと言、ふた言だもんね」

斉藤 「そうですね。でも、その中で、“自分はオーディションの時、ハサウェイっていう人物をつかめなかったけれど、これが今回のハサウェイなんだ”と、すごくしっくりきました。そこに対して、まだ視野が狭めなレーンが、これから先どう立ち向かっていくのか楽しみです。物語が進めば、おそらく戦いのシーンも増えてくると思うので、そこは待ち遠しいですね」

――マフティーの仲間であるガウマン・ノビルが捕虜となり、レーンと会話するシーンが印象的でした。ガウマン役の津田健次郎さんとはアフレコは一緒ではなかったのでしょうか?

小野 「そうですね。津田さんは別でした」

斉藤 「メインキャスト以外は全員別だったんです。ただ、レーンって人の話を聞いていないところがあるので、ある意味別で良かったというか(笑)。 掛け合いの本来の楽しさは、相手と対話ができるところにあると思うんですけれど、あんまり人の話を聞き過ぎるとレーンの猪突猛進感が薄れてしまう可能性があったので…。もしかしたら、収録が別になったことによって、結果的にレーンの“聞いていない感じ”がより出たかもしれないですね」

小野 「確かにね!」

斉藤 「ちなみに、斉藤壮馬個人としては、“ガウマンは格好いいな”と思いました」

――『閃光のハサウェイ』は全3部作。最後に、今後に向けての意気込みを教えてください。

小野 「“自分がやっていることは、本当に正しいのか”と、ハサウェイ自身、悩みながらマフティーとしての活動をしていますが、そこからどういう結末につながるのかが、やっぱり気になります。小説の後半部分はまだきちんと読んでいないのですが、ざっくりとした結末は知っています。でも、(第2部、第3部と制作が続く)映画の結末が小説を基にどう描かれるのかは、まだ知りません。なので、僕自身楽しみにしています! それに、小説の後半はまた次作をアフレコするタイミングがきたら集中して読もうかなと思っているので、それも楽しみです」

斉藤 「僕も、映画の結末が気になっています。次がどうなるか、早く知りたいです!」

【プロフィール】

小野賢章(おの けんしょう
1989年10月5日、福岡県生まれ。天秤座。A型。アニメ「あはれ!名作くん」(NHK Eテレ)、「バック・アロウ」(TOKYO MXほか)、「セスタス -The Roman Fighter-」(フジテレビほか)、「歌うサッカーパンダ ミファンダ」(BS-TBS)に出演中。


斉藤壮馬(さいとう そうま)
4月22日、山梨県生まれ。牡牛座。B型。アニメ「憂国のモリアーティ」(TOKYO MXほか)、「バクテン!!」(フジテレビほか)、「灼熱カバディ」(テレビ東京ほか)、「オッドタクシー」(テレビ東京)に出演中。4月17日より「斉藤壮馬 Live Tour 2021 “We are in bloom!”」がスタート。

【作品情報】

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
5月7日全国ロードショー Dolby Cinema™/ 4D同時公開

シャアの反乱から12年後。ハサウェイ(小野)は、ひそかに反地球連邦政府運動を率いていた。しかし、地球連邦軍大佐のケネス(諏訪部)、謎の美少女・ギギ(上田)と出会い…。一方、地球連邦軍では、新型ガンダムのパイロットとしてレーン(斉藤)が着任していた。

【プレゼント】

サイン入り生写真を2名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:2021年4月14日正午~4月21日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」4月23日号(P98)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html

取材・文/仲川僚子 撮影/為広麻里 ヘア&メーク/齋藤将志[小野]、紀本静香[斉藤]
スタイリング/DAN[小野]、本田雄己[斉藤] 衣装協力/KURO/KURO GINZA[小野]

© 株式会社東京ニュース通信社