広島・森下は国際試合向き!? 東京五輪代表“急浮上”の舞台裏

侍稲葉監督に絶賛された広島・森下、(右)は野村

広島の2年目右腕・森下暢仁投手(23)が東京五輪の代表候補に急浮上している。13日の甲子園での阪神戦を侍ジャパンの稲葉篤紀監督(48)が建山義紀投手コーチ(45)と来訪。試合は雨天中止となったが、稲葉監督はお目当てがこの日の先発予定の森下だったことを明かし「制球力もそうだし、いろんな球種ももっていて、ひとつ悪くても、違う球で勝負できる」と大絶賛した。

東京五輪での代表入りが有力視されたソフトバンク・千賀が6日の試合で左足首のジン帯を損傷。全治約3か月の診断を受け、出場が厳しい状況となった。その代役に13日現在で2勝1完封、防御率0・00の成長著しい右腕に白羽の矢を立てつつある模様だ。

数多いる先発タイプの右腕で侍指揮官がとりわけ高く評価しているのが、打者の目線自体を動かすほど大きく縦に割れる森下のカーブ。米国などパワー系の上体の力で振ってくる外国人打者に「縦」の緩急での揺さぶりは、非常に有効になると踏んでいる。

さらにそんなドロップカーブの使い手にとって今夏の五輪では、公式球が追い風にもなる。使用されるのは2019年のプレミア12でも使用されたSSK社製で、NPBの統一球となっているミズノ社製とほぼ“同質”なためだ。

同じ国際舞台でもMLB主催のWBCで大リーグと同じ米国・ローリングス社製。この海外製のボールの扱いに苦慮する投手も多く、09年のWBC候補に選ばれた当時・西武のエースだった岸(現楽天)が公式球との相性が悪く一次選考の段階でメンバー落ちを余儀なくされた例が有名で、調子を崩し、代表で思うような結果を出せずに終わった投手は少なくない。

だが今回はNPBの選手であれば、指先やリリース時に違和感を感じることなく、腕を振ることができる。とくに曲がりの大きな変化球の使い手にとっては、大きなアドバンテージにもなり得る。

森下も稲葉監督のラブコールに「名前をあげて頂けたのは光栄」と新たなモチベーションとなった様子。さらに加速しそうだ。

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