「あれ以上は無理だと思った」 西武辻監督が頭を悩ませる松本の“乱調癖”

日本ハム戦で先発登板した西武・松本航【写真:宮脇広久】

前回登板でも4連続四球で失点「自信を持っていこうとマウンドに上がった」

■日本ハム 3ー2 西武(13日・メットライフ)

西武は13日、本拠地メットライフドームで行われた日本ハム戦に2-3で惜敗。先発の松本航投手は5回までノーヒットに抑えながら、6回に突如制球を乱し6四死球3失点で降板。カードの頭を担う右腕の乱調に、辻発彦監督は頭を抱えるばかりだった。

「変化球には自信を持っていこうとマウンドに上がりましたし、実際に指にかかった良い球もありました」。松本自身がそう振り返ったように、2回1死一塁では大田に初球のカットボールを打たせ、投ゴロ併殺に仕留めた。4回1死一、二塁のピンチでは、中田を真ん中高めの140キロ速球で二飛、続く浅間をインハイの145キロで三飛と球威が勝った。

5回までは4四球を出しながらも無安打無失点。ところが1点リードで迎えた6回に突然崩れた。先頭の代打・高濱にチーム初安打の中前打を許すと、続く西川にはカウント0-2と追い込みながら、右肩付近に死球をぶつけてしまう。

続く渡邉は最初から送りバントの構えを見せ、初球はファウル。2球目には、バントした球が渡邉の額付近に当たるハプニングが起こった。渡邉はいったんベンチ裏に下がり治療を受けたが、これで動揺したように見えたのは、なぜか松本の方だった。カウント0-2で打席に戻った渡邉に対し、1球もストライクが入らず四球で歩かせたのだ。無死満塁となり、球数は75球。ここで辻監督はあっさり松本を降板させた。

辻監督「あれ以上は投げられない、無理だと思った」

「あれ以上は投げられない、無理だと思った」と指揮官。松本は前回登板の6日・楽天戦でも、初回に先頭の辰己を3球三振に仕留めた後、2番以降に4連続四球を与え、押し出しで先制点を献上。4回2安打5四球2失点で敗戦投手となっているとあって、黙って見てはいられなかった。結局、救援した佐野、宮川も流れを止められず3失点。このイニングだけで試合は決した。

「2ストライクまで追い込みながら、4球続けて全然とんちんかんな方へ行ってしまう。こっちは、どうしてだろうと思っちゃう」と首をひねった辻監督。松本は「最後はやっぱり良くない印象が残ってしまって悔しいです。(次回登板へ向けては)やることは変わらないので、毎回言っていますが、ゾーンで勝負できる強いボールを投げられるようにやっていきたいと思います」とコメントした。

西武の先発投手陣は、コロナ禍で入国が遅れていたザック・ニール投手、新外国人のマット・ダーモディ投手が3日に来日。今週末には隔離期間が明ける。しかし、なお手薄な陣容で松本の奮起が望まれるところだ。ストレートの球威、変化球のキレには周囲の目を見張らせるものがあるだけに、なんとももどかしい投球が続いている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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