【Editor's Talk Session】今月のテーマ:アーティスト性の変化とレコード会社の在り方

Editor's Talk Session

音楽に関するさまざなテーマを掲げて、編集部員がトークセッションを繰り広げる本企画。第17回目のゲストは、トイズファクトリー(以下、トイズ)で新規レーベル『VIA』を発起したチーフプロデューサーの松崎 崇氏とユニバーサル ミュージック合同会社 / EMI Records(以下、EMI)のチーフプロデューサーであり、実験的プロジェクト『IMALAB』主宰の今村圭介氏。時代を先読み、新たな挑戦を続けるふたりにアーティスト性の変化であり、レーベルの意味、コロナ禍を経た音楽業界の未来などを語ってもらった。

【座談会参加者】

■松崎 崇
トイズファクトリーのA&R;ディレクター。担当アーティストはEve、マカロニえんぴつ、りりあ。、羽生まゐご、WON、HOWL BE QUIET。2020年11月にトイズファクトリー内レーベル『VIA』を立ち上げた。

■今村圭介
ユニバーサル ミュージック合同会社 / EMI Recordsチーフプロデューサー兼『IMALAB』主宰。「何年も何十年も一緒に音楽でドキドキできる新人アーティストを探しています!」

■石田博嗣
大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP’s&OKMusicに関わるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。

■千々和香苗
学生の頃からライヴハウスで自主企画を行ない、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。

■岩田知大
音楽雑誌の編集、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP’s&OKMusicの編集者へ。元バンドマンでアニメ好きの大阪人。

世の中が求める アーティスト像が変わってきた

岩田
新型コロナウイルスが流行する前から音楽配信、ストリーミングが少しずつ広まっていましたが、その中で松崎さんは『VIA』という新規レーベルを立ち上げられ、今村さんは新人アーティスト発掘の実験的プロジェクト『IMALAB』をスタートさせました。まずはそれぞれ発足の経緯を教えてください。

松崎
トイズで3年前から働いていますが、BUMP OF CHICKEN、ゆず、Mr.Childrenなどビッグネームのアーティストもいて、もともとブランディングが素晴らしいレーベルだと思っていました。僕は数字を見るのが好きなので、社内の全体収支をリサーチするとどのアーティストもパッケージは強いのですが、ストリーミングや配信が強いアーティストがそこまでいなくて。そこでサブスクリプションに特化したアーティストを集めたレーベルを作りたいと考えました。

今村
それはいつ頃だったんですか?

松崎
昨年の5月くらいの話です。ちょうどコロナ禍で悶々と考えていたタイミングでしたかね。

岩田
『IMALAB』はどのタイミングから考え出したんですか?

今村
昨年くらいから新人アーティストがチャートの上位に突然出てくるようになったじゃないですか。どこか世の中が求めるアーティスト像が変わってきた感覚があって。今までのような“アルバムを出してツアーをやる”流れと違う…そもそもコロナ禍でライヴできないじゃん!ってのもありますけど。新人アーティストとかかわる中でも、“TikTokでどうやってバズるんですか?”とか“Spotifyのプレイリストはどうやって入れるんですか?”とか訊かれるようになって、A&Rが求められていることが変わってきているとも感じていたんです。でも、音楽はいいものを作らなきゃいけないわけで、“何年も何十年も一緒に音楽でドキドキできる新人アーティストを探しています”とTwitterでつぶやいたら、ブワーってそのツイートが伸びたんですよ。あれは、ニトリの駐車場でつぶやいたんですけど(笑)。

全員
(笑)。

今村
このつぶやきが350万インプレッションくらいになって。それって、僕と同じように悶々としていた人がいたということですよね。アーティストからも“音源聴いてください!”というリプライが1,000件近くあって、クリエイターやスタッフ志望の方からも“一緒にやりたいです!”と300件近くきたんですよ。だからその想いをかたちにしたいと考えたんです。すぐにクリエイターコミュニティーとして『IMALAB』を作って、現在150人近くの方に参加いただいています。

松崎
僕はリアルタイムであのつぶやきを見てましたよ。一方的にフォローさせてもらっているので。

今村
えっ! ありがとうございます。

松崎
今村さんは業界有名人ですし、レーベルも違うので、一緒にお仕事したいと思ってもなかなか接点がないから一方的にフォローさせてもらっていました。

今村
ありがたいです。『IMALAB』はそんな経緯でスタートしたこともあり、『VIA』がディストリビューターのThe Orchardさんとしっかりサブスクのかたちを作ったところとかさすがだなと思っていたこともあって、ぜひ松崎さんと話したかったんですよね。

松崎
いやぁ、嬉しいですね。メディアに話す時にも他のレーベルと何がどう違うのか具体的に話ができたほうが面白いと思ったのと、やるならCDを出していない人がいいと思ったんです。いろんな条件が整った時、トイズなんだけどディストリビューターが違うみたいなのがいいなと。それでThe Orchardさんと自然とつながっていきました。

今村
めちゃめちゃいい! 今までと完全に違うレーベルをいわゆるメジャーレーベルでデジタル特化型としてスタートさせたのがすごいなと思いました。

石田
でも、今村さんもEMIに所属しながら『IMALAB』を発足したわけですからね。

千々和
今村さんのTwitterを見た時、とにかく熱意を感じました。私がフォローしているバンドマンも結構返信していて、今村さんの今までのご経験も全部合わさっての投稿とはいえ、“SNSでも熱意を伝えることができるんだ”と。

今村
びっくりしました。フォロワーが倍くらい増えましたからね。『IMALAB』は熱量があった分、みんなが自主的に動いてくれるんですよ。いろんなプロジェクトが立ち上がって、どんどん新人アーティストの情報も入ってきて、毎週水曜日にプレイリストを更新したり、3月31日から設立されたレーベル『balami』も僕が運営しているわけじゃなくて、誰かがやりたいと言ったところから始まったんです。

SNSを使いこなしている アーティストに注目をしている

岩田
話が変わりますが、新人アーティストの発掘という点で言うと、ライヴハウスにも行けない昨今で新人発掘はとても難しいと思います。おふたりはそれぞれどういうスタンスで新人発掘に取り組まれていますか?

今村
もはやSNSでしかないんじゃないかな? でも、僕はこのやり方の逆でずっとやってきていたからSNSがすごく苦手で。まさに150人の『IMALAB』メンバーを頼りにしています(笑)。

松崎
すごくいい仕組みを作りましたね! 完全に分社化させた会社みたいだ。

今村
ひとりで動くのは限界があるから多くの人が動いたほうが見つけられるんじゃないかと。

岩田
『IMALAB』のスタッフから集まってくる多くのアーティスト情報から最後に選定されるのは今村さんなんですよね? 選定の基準は何になるのですか?

今村
僕の中には基準があって、それは『IMALAB』のみんなにも伝えてます。まず“数で勝負しない”。“いいね”の数は取ろうとすれば取れるので、数だけで判断しないとか、最初の入口はある程度決めるんです。あと、持ち曲が3曲くらいしかなかったら採用しないとか。“2曲だけ当てたいんです”みたいなアーティストも絶対いるじゃないですか(笑)。そうやって作っていく時代でもあるから、そういうアーティストがいてもいいのかなと思うんですけど、なるべく耳だけで判断するようにしていますね。それと、僕はバンドばっかりやってきたとはいえ、ジャンルは絞らずいいと思うものを選んで、採用が決まったら見つけてきた人がそのアーティストを担当する。そうやって多くの人がアーティストにちゃんと携われるといいなと。

石田
今村さんは今までバンドを主にやられていましたけど、バンド系じゃないものを持ってこられた時も、ご自身で選定されるのですか? いわゆるボカロ系とか。

今村
そこが本当に得意じゃないので、その話を持ってきてくれた人にボカロのレッスンをちゃんと受けています。どういう歴史でこの人が注目を集めているのかなどをしっかりと教わってから、曲を聴いて判断してますね。めちゃくちゃ勉強になりますよ。

岩田
松崎さんもSNSを見に行って自分で新人を探してくるんですか?

松崎
SNSで見つけるというよりは、SNSを自然に使いこなしているアーティストが好きなんですよ。それこそ今担当しているマカロニえんぴつのはっとりくんの詩的なツイートが好きでした。EveはYouTube、りりあ。はTikTokをひとりで使いこなしていましたし、SNSで探すというよりはSNSを使いこなしている人を見つけるという感覚です。

今村
松崎さんがかかわっているアーティストってブレイクするまでがすごく早いんですよね。

石田
アーティストができてないところを松崎さんがカバーするから、そのアーティストが持っている勢いに加速力がつくんでしょうね。

今村
『VIA』はすでに3アーティストが所属していますもんね。“VIA”という名前もいいなと思ってるんですけど、自分で考えたんですか?

松崎
ありがとうございます。名前は“~を経て”や“~を経由して”という意味があるんですけど、もともとテクノがすごく好きで、田中フミヤさんのDVDで『Via』という作品があって、本当のことを言うとそこから取ったんです(笑)。でも、後づけ的に意味合いができたし、語呂もいいし、意味もいいなと思って。

今村
『IMALAB』は本当にシンプルで(笑)。でも、一個意味を入れたかったのは“ラボラトリー”という言葉ですね。新しい時代への対応が難しい今、常に実験的でありたかったんです。松崎さんもどこかのインタビューで“カラーがない”とおっしゃっていましたが、僕もまったく同じで白でいいと思ってるんですよ。これから誰かが色をつけていけばいいかなと。それはスタッフなのか、クリエイターなのか、アーティストでもいいと思いますし。だから、“今村が実験するよ”ということで“IMALAB”って…しかも人につけてもらったという(笑)。設立したレーベルの“balami”という名前も、“IMALAB”を反対にしただけだし(笑)。

石田
レーベルのカラーはモータウンみたいに、あとからついていけばいいですよね。そうなると“あのレーベルが出すんだからこういうアーティストなんだろう”とか“あのレーベルから出てくるアーティストは信頼できる”となっていくし。あと、今村さんの“みんなと一緒にやっていく”というスタンスも重要で。アーティストをプロデュースするではなく、コライトしていくとおっしゃっていたインタビューを読んだことがあるんですけど、だからこそスタッフやクリエイター、アーティストが賛同してくれるんじゃないかと思いますね。

今村
昔から僕はプロデュース能力とかは全然なくて、担当したアーティストがすごかっただけだと思っているんです。単純にサポートをしてきただけなんで。才能あるアーティストとクリエイターとスタッフ、その人たち同士でやったほうが絶対にいいから、まずはプロジェクト化して、チームで責任を持ってやる。それぞれが発揮できることに取り組んでほしいんですね。そうすると、ある程度の人数やいろんな分野の人がいたほうが新しいものが出来上がる景色を見ることができると思っています。

いい曲が出来上がったら それを爆速で出す

千々和
私はmusic UP'sでインディーズ担当をしているので、毎月3組から4組ほどのアーティストの取材をするんですが、話を聞いているとレーベルに所属していても自分たち主導で動いていたり、自分でレーベルを立ち上げていたりとか、意思の強いアーティストが多いと思っていて。おふたりは最近のアーティストをどう感じていますか?

松崎
やっぱりみなさんこだわりは強いです。こだわる部分もそれぞれで違うじゃないですか。アーティストから“こうしたい”と言われた時に“それはちょっと違うな”と思うことももちろんあります。その時は“絶対にこうやったほうが僕はいいと思う”と思うんですけど、僕は今38歳なので二十歳とかの子と感覚も違うから、その時の自分の感性を信じてないんです。“こうやったほうがいいと思う自分がダメなんだろうな”というところから始まるというか。だから、個性を潰さないために嫌なことは絶対にやらせないようにしてますね。ぶつかったら基本的に言う通りにする柔軟性とジャッジの速さが大切かなと。一番良くないのは、アーティストのやりたいことを寝かすことなんですよね。“こうやってほしい”“こういうふうにやりたい”というのを忙しさにかまけて寝かすのは良くないから、それだけを意識してるくらいで、あとは流れに身を委ねながらいい曲が出来上がったら爆速で出す!というくらいです。

千々和
CDに関しても、売れないというのはよく聞きますけど、そもそもアーティストが出したいと思っていない場合もありますよね。

松崎
分かります。でも“そんなこと言うなよ~”ってレコード会社で働いてる者としては思ってしまうこともありますね(笑)。

石田
アーティストがCDプレーヤーを持っていないことも多いですからね。

松崎
確かに。でも、その感覚がストリーミングになっているというのは実感します。今の新しい世代からすると、僕らがCDを作るのと一緒でストリーミングで曲を届けたり、YouTubeにアップするのがリリースと一緒なんだなとすごく感じますね。

今村
完全に同意ですよ! その通りだと思います。

岩田
今村さんは『IMALAB』で配信ライヴイベントなども実施されていますが、それこそ新人バンドとかかわる中でもCDに対して同じような意見が多いんですか?

今村
ジャンルによって違うかもしれないですね。CDに憧れを持っているのは、バンドには多いと思います。そもそもライヴイベントをやったのは、『IMALAB』でいろんなアーティストやいろんな人たちと話しをすると、インディーズの子たちが特に苦労していて、どうやって活動したらいいか分からないという意見があったんです。特に発表の場を失っているアーティストが多いからライヴを見せる機会がほしいと。やってみると、その通りで。そこに対する想いが強い人がいっぱいいて…だから、これからも才能と熱意を発信する場はできる限り作りたいなと思います。

千々和
“自分たちで全部やっていこう”というバンドと、そうはいかないバンドの間に溝ができていくのは危ういと感じてます。配信ライヴをやるとなったらお金もかかるし…今はライヴハウスが配信システムを整えていることが多いですけど、コロナ禍になった時にそういう部分で置いてけぼりになってしまったアーティストもいっぱいいると思います。

今村
今はいろんなことができるアーティストが多いですね。動画も作れて、SNSでプロモーションもちゃんとできるっていう。一方で、才能はあるのにそれができなくて埋もれてしまっているアーティストがいっぱいいると思っていて。その人たちは本当に見つけづらいんですよ。“いいね”とかフォロワー数が全然ないんで、僕はそこをなんとか見つけたいと思うんです。

千々和
本当に両極端ですよね。片やレーベルの方から声をかけてもらって、その場で自分の意見が言える人や、セルフプロデュースができている人もどんどん増えていて。

松崎
確かに。レーベルがアーティストにしてあげられることがすごく少ないですよね。昔はアーティストは曲を作ることで精いっぱいだから、それ以外のことをやってあげる…それこそプロモーション用の紙資料を作るとかもそうですし、CD-Rに音源を焼いたりとか。今は全部自分でできちゃうけど、今村さんが言ったようにできない人もすごくいて。才能がめちゃくちゃあるけど、世に出ていくきっかけがないみたいな。そこに目をやるのは新しい音楽の生まれ方として面白いし、そういうアーティストが売れてほしいですよね。

今村
そういうアーティストをフックアップできる場もちゃんと作りたいと思いますね。できる人たちはSNSとかでちゃんと目立ってこれるので。

松崎
そこは絶対に声がかかってますもんね。

今村
あと、勝手に思っていることですが、今後は音楽を生む人がアーティストとして生きていくだけではなくなる気もしています。例えば、作った曲を一曲いくらかで売って、それを買う人がいて、その人がそれをサブスクで販売するっていうことも起きるんじゃないかと。アーティストとして活動したいわけじゃなく、ヒット曲を何曲か世の中に出したいだけとか、自分の曲じゃないけど音楽で食っていく人とかも出てくると思っていて。レーベルがどこを支えていけるのか?も、ものすごく多岐にわたってくるんじゃなかと

岩田
松崎さんもそうなると思いますか?

松崎
論点は少しずれるかもしれませんが、すごく細分化はされてきているので、“これができないとダメ”みたいなのはなくなりそうだなとは思っていますね。昔は自分で曲が作れて、アレンジができて、佇まいも素晴らしい、それに勝るものはなかったんですけど、最近だと素顔を出さずともたくさんの人たちに広がっていくこともあります。僕は全員にチャンスがある時代がストリーミングによって訪れたと思いますよ。スタートラインがみんな一緒になったから、これから先はアイディアやスピード感だったりが試されるんじゃないかな? 特にスピード感だと思っています。クリエイティブファーストは大前提で、いい曲を作るとか、こだわっていいMVを作るとかも大事ですけど、夏のことを歌っているのに寒くなってからリリースしたら意味がない。とにかく爆速で動けて、爆速でいい展開を作れて、爆速で届けられる人が選ばれていく。だから、それについていけるように、今からノウハウを自分の中に落としていかないといけないというのは感じています。

石田
これをレコード会社の方に言うのは申し訳ないのですが、そうなってくるとレコード会社の在り方が変わってくるというか、いらなくなってきますよね。

松崎
そうそう、本当にそう思います。

今村
ソニー・ミュージックエンタテインメントの元社長の丸山茂雄さんは“レコード会社はいらない”と言ってましたが、本当にレコード会社はこれから動き方が変わりますよね。『VIA』のようにスモールチームで爆速で動くというのも動き方のひとつだと思います。

結局、いいものを作りたい というのは変わらない

岩田
コロナ禍によってもガラッと業界の考え方が変わったと思いますが、逆にコロナ禍になったことで気づけたことはありましたか?

松崎
全員同じ状況になり、みんなが大変でフラットな状態になったからこそ、どういうアクションを起こすのかが問われていると思いますね。自分が担当しているアーティストに関しては全アーティスト、オフェンシブに動けていると思います。メディアへ積極的に稼働したり、こだわったアニメーションMVをじっくり作ったり、そういう面では良かったかな? 悪かった面は…やっぱりライヴに行けないことが残念ですよね…。ライヴがない生活がこんなにつまらないものなのかと実感しています。夜はライヴを観て、打ち上げがあって、家に帰って余韻でひとりで飲み直す…そういう生活だったから、そこはかなり変化がありました。

今村
やっぱり一番はライヴの大切さですね。もう少ししたらライヴが復活してくると思うので、今の配信で立ち上がったものと両方で走りそうな感じがするから、より音楽業界は面白くなると思っています。

岩田
先ほど、レコード会社の在り方が変わってくるというお話がありましたが、音楽業界という大枠で見た時におふたりはどのようになっていくと思われますか?

今村
かなり変わると思いますね。すでに変わりつつあると感じます。アーティストとの関わり方がこんなに変わっているので、A&Rだけでなく、宣伝、販促、営業、それぞれがもっともっと変わっていくだろうと。アーティストのやりたいことが多岐にわたり始めているから、そこに順応するというか、そういうプロフェッショナルが出てきて、“やっぱりレコード会社って必要だね”となるんじゃないかな?

松崎
まさに今村さんが話してくれたことが全てだと思いますね。コロナ禍でライヴハウスやイベンター、ライヴ制作の方は本当に大変だと思うんです。レコード会社はアーカイブというかストリーミングとかがずっと動いていたりして、そういう意味で言うとまだ守られています。だからこそ、ライヴが復活した時に何を返せるかというのがすごく大事になってくると思いますね。ライヴはその反動でより盛り上がるのではないかと。抑えられていた熱量がその反動によって大爆発すると予測してます。

岩田
音楽関係者とアーティストがともに切磋琢磨しながら盛り上がっていくと。

松崎
絶対に盛り上がりますよね!

今村
盛り上がりますよ!

岩田
最後に『VIA』『IMALAB』それぞれ、これからどういった活動をされていくのか、将来的なビジョンを訊かせてください。

松崎
『VIA』は先ほども話しましたが、ずっと長くやっていくことが目標です。同じペースで走っているんだけど、いつの間にか2年、3年後に先頭集団にいる様な存在になりたいです。特別なことはやってないのにずっと同じペースで走っているからこそまとまりも出てきて、個性にもつながっていくのではないかなと。今はネットで顔出ししないアーティストの特集とかをされて一時的に注目されていますけど、そういう一過性ではなく、同じペースでコンスタントに作品をリリースし続けることが一番難しい。マラソンで言うところの優勝ではなく完走が目標です!

今村
素晴らしいです! 逆に『IMALAB』は今年で終わるんです。スタートした時に終わりを設けたんですね。もちろん、本当は長くやりたいんですよ。でも、今のこのスピード感に追いつくために、逆に期限を決めて、そこまでにみんなで結果を出そう!っていう。アウトプットしたクリエイティブがその結果だとして、僕の中でフジファブリックの「若者のすべて」という曲を志村正彦と一緒に作れたというのはやはりひとつの大きな指針になっていて…当時はまったく売れなかったんですけど(笑)、あの曲は残り続けているので、そういうものをちゃんと残し続けたいんです。結局、“いいものを作りたい”という想いは変わらないんで、それをみんなで作れたらいいなと思っています。

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