【体操・全日本選手権】エース萱和磨が口にした王者の自覚「日本を引っ張る覚悟は前からできている」

公式練習を行った萱和磨(写真:アフロスポーツ)

体操の全日本選手権(15日開幕、群馬・高崎アリーナ)の公式練習が14日に行われ、男子エースの萱和磨(24=セントラルスポーツ)がリモート取材で王者の自覚を口にした。

昨年12月の全日本選手権で個人総合初優勝。予選1位からの「完全V」を達成し、名実共に体操ニッポンのエースを襲名した。

今大会は東京五輪の代表選考という位置づけ。しかし、萱が見ているのは、その遥か先だ。

「僕の目標は代表に入ることではない。(五輪で)金メダルを取ることなので。代表に入って終わりっていうのは昔の自分。その先の五輪の個人総合と団体で金メダルを取る目標を選考会から見続けていけば、勝手に代表にも入っているし、代表選考が終わってもその気持ちが切れずに五輪まで突っ走っていけると思う」

これまで日本を支えてきた五輪2連覇の内村航平(32)は鉄棒に専念し、団体メンバーに入ることはない。萱は「日本を引っ張ると覚悟は前からできている」と言い切るが、その自覚は以前にも増して強くなっている。

「結果を手にしてさらに自覚が芽生えました。(12月に)優勝した時は、ここで喜んではいけないという思いもあった。その思いを約4か月ぐらい持ち続けてきました」

今大会の予選と決勝、そして5月のNHK杯の3大会の結果で代表入りが決まる。いまや「追われる立場」にも慣れてきた。

「5年前のリオ五輪前と今の自分を比較したりするんですけど、その時は何か追い詰められていた。でも今の自分は、この5年間でいろいろ経験してすごく強くなっている自信もある」

リオ五輪団体金メダルはスタンドから眺めていた。その屈辱からの逆襲がようやく始まろうとしているが、エースは「ある意味いつも通り。普通って感じですね」とそっけない。この恐ろしいほどの冷静さに、自信と自覚が凝縮されている。

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